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電力事業に初参入する銀行!

皆さん、おはようございます!
新しい業態を創出するということは、旧態依然とした事業の問題点を一つひとつ改善して行った結果として確立されるものかもしれません。その結果、どの様な業態になるかは誰にも分からないものであり、過去の既成事実に捉われていては何も生み出せないものでしょう。



島根県と鳥取県を地盤とする地銀、山陰合同銀行が銀行として初めて電力事業に参入するそうです。今夏にも新会社を設立し、再生可能エネルギーの発電施設を管理・運営する計画です。2021年の銀行法改正で参入が可能になったからであり、原則禁止されている「銀行以外の業務」についても、地域再生等の事業であれば子会社による参入が認められてます。


山陰合同銀行としては、耕作放棄地などを利用した太陽光発電の他、中山間地域での自然エネルギーの活用を進め、銀行の収益多様化と地域再生につなげていく狙いです。新会社を通して、まず鳥取県米子市と境港市が進めるゼロカーボンシティ構想に参画し、地元企業と協力し耕作放棄地などに太陽光発電施設(=計約1万4千キロワット)を整備するそうです。


2023年度中に、約600の公共施設などに対して電力を供給することを目指してます。
地方銀行は、従来の銀行業務を続けるだけでは先細りが避けられず、変革を迫られている状況にあります。その意味では地域金融機関に求められる役割自体が変化しているということが出来るでしょう。金融庁は山陰合同銀の電力参入許可の申請を認める方向で調整中です。


この事実のみを受け止めますと、いかにも三方よしという感じがしますが果たしてどうなのでしょう。確かに耕作放棄地を活用して太陽光発電施設を造り地域の施設に電力供給することは、地域再生に繋がるばかりか、社会の脱炭素化の動きにも合致しており良いこと尽くめという感じがします。しかも、業績悪化に喘ぐ地銀の新しい活路にも繋がる様に見えます。


きっと太陽光発電施設の構築には地元の建設業者が絡み新たな工事需要を生み出しますし、山陰合同銀行はそれら建設会社への資金融資に留まらず、最終的に同施設を保有することになる子会社ないしSPC(=特別目的会社)を活用したファンド(=GKーTKスキーム)への融資およびリスマネー投資のほか、ファンド組成手数料を期待していることでしょう。


しかし、それは一見時流に合った歓迎すべき施策の様に受け止められますが、戦後から続けられてきたバラ撒き型の公共施設を建設する政策と被って見えてしまうのは気のせいでしょうか。確かにエコな電力需要は求められているのかもしれませんが、建設コストや裏日本という立地の日照時間を考慮しますと採算ラインに乗せるのは難しいのではないでしょうか。


本当に地域を再生して行こうと考えるなら、短視眼的な建設需要によって一時的な雇用を創出することに留まらず、もっと地域の有形無形の資源に目を向けてソフトウエアという事業を創出することにより人口流出を未然に防いだり、UターンやIターンを増やす必要があるのではないでしょうか。耕作放棄地についても農業6次産業化を積極的に進めるべきです。


本来、銀行に解禁された本業以外の事業への参入は、地域商社などを狙いとしている訳であり、太陽光発電の様なアセットマネジメント事業を想定している訳ではないと思います。この点、山陰合同銀行の事業に対する保守的慎重さが浮き彫りになっていると見ることが出来るでしょう。銀行が抱える企業文化や風土を変革しない限り地銀再生は困難だと思います。


今日もありがとうございます!
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