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ヤマトHDの専用貨物機!

皆さん、おはようございます!
大手企業が存続を賭けた事業構造改革に着手し、少しずつその成果が現れているようです。ROE10%以上を目指し、事業ポートフォリオの組み替えを行って来た成果なのかもしれませんが、これからの新しい事業創出に繋がるシナジー効果を期待できることを願います。



ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングス(=HD)は、2024年4月から首都圏と北海道や九州・沖縄などを結ぶ長距離輸送向けに、自社専用の貨物航空機を導入することを明らかにしています。貨物専用航空機をリース契約で導入し、日本航空(=JAL)グループの格安航空会社(=LCC)のジェットスター・ジャパンに運航を委託する計画です。


これまでも荷物の輸送に旅客便や貨物便を利用していましたが、自社専用機体の利用は初めてのことです。導入するのは欧州エアバス社の「A321ceoP2F型」3機であり、旅客機を貨物専用機に改修した機体をリースで利用することになります。これにより1機あたり最大積載量28トンとして、10トントラック5~6台分の輸送量を確保できる様です。


トラック運転手の時間外労働を減らす法律が適用される「2024年問題」に対応する他、災害時に道路が寸断された場合のリスクを想定し大量の荷物を短時間で運べる専用機導入を決めたことが狙いとしてあります。ヤマトHDとしては、専用機の導入で安定した輸送力を維持するとしています。米アマゾンでも数百機の自社専用貨物機を保有する例があります。


確かに世界の貨物需要動向がネット通販などの興隆を背景とし、船便をはじめ輸送手段の手配が出来ず輸送量が高止まりしていると言われています。国内のJALやANAなどもコロナ禍で旅客需要が激減している中で、貨物需要が活況を帯びていることから旅客機に旅客を乗せずに貨物のみを搭載して空輸するくらい悪化する業績を下支えする程と言われてます。


但し、ヤマトHDが貨物専用機による航空便事業で気を付けるべきは、同社が導入する貨物専用機を保有するのみで、あとの運航や整備といった業務を委託するからといって、3機程度の保有機体数ではスケールメリットが享受できない点です。寧ろ、他社の貨物便を混載で利用した方がコスト的には割安に済むはずなのに、なぜ自社所有に踏み切ったのでしょう。


これまでにも佐川急便の佐川ホールディングスが、やはり欧州製A300という機体3機使用してギャラクシー航空という貨物航空会社を設立したことがありますが、いつの間にか胡散霧消し現在では影も形も無くなっている現実があります。またANA、JALともに貨物専用航空会社を所有していた経緯がありますが、既に売却または解散してしまっています。


そもそも航空事業というものは、1種類の機体を導入するのに運航や整備といった技術的知見を必要とする膨大なノウハウを企業に定着していく為に莫大な初期投資を必要とします。その初期的固定費を回収する為にはどうしても保有する機体数が多いほどメリットが出ることになります。それを考えますとヤマトHDの3機での事業化は限界がある様に思います。


しかし、JALグループにとっては、とてもメリットのある取り組みだと受け止めます。ジェットスター・ジャパンが使用している機材と同じ機体ですので、同社にとっては初期投資を掛けることなく、運航や整備といった業務受託料を手にすることが出来るからです。また
グループの貨物便に空きが無ければ、ヤマト便を利用させて貰うという副産物もあります。


今日もありがとうございます!
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