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Jフロントが住宅事業に参入する意味!

皆さん、おはようございます!
仕事始めの昨日から出張に来てます。年末年始に暫く仕事から離れ、鈍った感覚を取り戻すにはちょうど良かったと思います。今年は、日頃思い描きながら暖め続けてきた事業の構想を実現すべく、ついつい廻り道ばかりしてしまう性格を正し、ストレートに取り組みます。



大手百貨店のJ・フロントリテイリングが住宅事業に参入することを表明しました。都心に保有する遊休不動産などを賃貸マンションとして再開発する計画です。新型コロナウイルス禍により追い打ちを掛けられ百貨店事業が頭打ちとなっていることから、百貨店各社は商業施設開発やオフィス賃貸に事業の舵を切り、小売頼みの収益構造を一段と見直す構えです。


Jフロントは、商業施設開発運営子会社であるパルコ通じて、名古屋市で賃貸マンションの建設を始めています。事務所や倉庫であった遊休資産を100戸超の賃貸物件に建替え、2023年の完成を目指します。可処分所得の多い共働き夫婦や単身者の利用を見込みます。今後、既存百貨店の店舗建替えなどに際して、一部を住宅にすることも検討するそうです。


Jフロントは2031年2月期迄に住宅等の非商業の分野で、会社全体の営業利益の4割を稼ぐ方針です。商業部門(=百貨店、ショッピングセンター)の営業利益は6割(=2020年2月期は79%)まで下げる計画です。競合他社に比べ、他社に先行し2010年代からGINZASIXなど不動産を他社に賃貸するビジネスに転換してきた実績を持ちます。


松坂屋上野店南館も建て替えを機に商業施設とオフィスに衣替えをしています。Jフロントの2020年2月期の営業利益率は8.4%と高島屋の2.8%など同業他社より高いという業績を出しています。考えてもみれば、鉄鋼会社、郵船会社、絹糸会社などの斜陽産業も業績の良い時に取得した土地を活用し不動産事業に参入していたことが思い起こされます。


但し、その時代はバブル経済華さかりし頃であり、現在から将来に向けて人口減少が予想される中、必ずしもこれからの不動産開発運営事業にメリットがあるのか些かの疑問が残ります。確かに、都心立地であれば安定した賃料収入が見込まれるのかもしれませんが、成長余力に乏しいと思います。百貨店事業の固定経費を賄える安定基盤を確立したいのでしょう。


大手企業という事業者として、遊休不動産の立地の良さのみに依存して住宅事業に参入しても、きっと先行きジレンマに直面することになるでしょう。これからの不動産事業は、不動産を活用してどの様な社会的に意義のある付加価値高い運営サービスを提供できるかが問われています。いままで百貨店事業で培ってきた経験知を活かすことが出来るのでしょうか。


彼らが持つ最大の事業資源は、富裕層に括られる比較的に高所得なお客様であることに間違いありません。その上で、お客様が購入したいと思うであろう商品の目利き力と従業員の高質なサービス応対力が蓄積されていると思います。お客様が生活して行く上での歓びを提供することが百貨店事業にとっての存在価値でしょう。言い方を変えれば総合生活産業です。


将来に向けてその本質を忘れず持ち続けるのであれば、「場」を活用する為すべきサービスの幅は無限に広がるでしょう。自分たちはモノを売らなければならないとする呪縛から解き放たれ、高齢化社会を迎えるにあたって社会から望まれるサービスを提供していけば良いと思います。お客様のコンシェルジュとして、いま以上に信頼関係を深める必要があります。


今日もありがとうございます!
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