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百貨店事業の終焉!

皆さん、おはようございます!
実績とは目に見えた過去の栄光かもしれません。人はその事実に捉われがちですが、それが将来の栄光を約束するものではないことを冷静に受け止める必要があると思います。これだけ時代の流れが早まる中で、未だ目に見ることのできない将来像を描く方が大切でしょう。



三越伊勢丹ホールディングス(=三越伊勢丹)も百貨店事業中心の収益構造を見直すそうです。先ごろセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が百貨店売場面積に占める自社運営とテナントとの比率を逆転させ、自社運営割合を現状の6割から4割以下に減らす方針を明らかにしたばかりです。一世を風靡した百貨店業界に何が起きているのでしょう。


三越伊勢丹は、営業利益の約6割を占める百貨店事業の比率を2031年3月期までに5割に下げ、不動産・金融で5割を稼ぐ構造にするそうです。300万人近くの自社カード会員の厚い顧客基盤も武器に富裕層らをひきつけるテナントを誘致することで、不動産ビジネスの強化を鮮明にしていく計画です。百貨店のビジネスモデル転換が大詰めを迎えています。


不動産ビジネス強化の方針を打ち出す切っ掛けとなるのが松山三越とのことです。今秋から12月にかけて順次改装オープンする地上8階、地下1階建ての同店はでは、6~8階から百貨店機能を完全に撤退させ、テナントが店舗面積の半分を占めるようになっています。テナントとして東京の著名スーパーやフィットネスクラブ、高級ホテルなどを誘致してます。


東京都内の旗艦店では伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店での再開発の検討が進められており2030年代初めに再開発を完了させる計画です。伊勢丹新宿本店は年間売上高が2000億円を超す日本最大の百貨店ですが、周辺に保有する駐車場やスタジオアルタなどの保有不動産を軸に再開発を進める考えで、新宿駅からの回遊性を高める再開発を想定しています。


三越伊勢丹に限らず、そごう・西武もそうですが、事実上の百貨店ビジネスの縮小であり、その足らず前を商業不動産ビジネスにより補っていく考えです。それは三井不動産のららぽーとや商業専門不動産業を営むパルコなどと同じビジネスに進出することを意味してます。商品販売責任を負わないそれら不動産ビジネスに妙味があっても進取性を感じられません。


そもそも百貨店ビジネスとは呉服商が祖業であり、商いの基本は固定客との信頼関係に基づきお客様が欲すると思われる反物(=商品)の目利き力を拠り所として商品を仕入れ、それをお客様に紹介していくものであったと思います。時にはお客様のご要望によりオーダーメイドで反物を委託生産することもあったでしょう。それがビジネスの基本であった筈です。


それから取り扱う商品種が増えて行き、高度経済成長とともにいつの間にかに棚貸し(=消化仕入れ)と呼ばれるアパレルメーカが自社製品を百貨店の棚を借りて自社の責任で販売するスタイルが主流となって行きました。この段階に行くと、もはや呉服商というよりも不動産業に近いビジネスモデルだと思います。そして、今後は正真正銘の不動産業に舵を切る。


今般の百貨店の意思決定は、これまで築き上げてきた商売のDNAをも左右する大きな転換点だと思います。一人ひとりのお客様に向き合い、本当に欲している商品を見出し、ご提供するという基本に忠実な選択肢もあった訳です。しかし、それでは規模の経済を追えないという判断なのでしょう。時代に求められているのは哲学であることを忘れてはなりません。


今日もありがとうございます!
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