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コングロマリットディスカウント!

皆さん、おはようございます!
学生時代を懐かしむように購入したロードバイクですが、秋口に諸島巡りのツーリングを楽しもうと考えていながら、乗らずじまいでリビングのイミテーションとなってしまっています。あの大地を踏みしめる躍動感はきっとダイナミックな視野を蘇らせてくれるでしょう。



東芝が総合電機メーカーとしての幕を下ろし、会社全体を主要な事業ごとに3つに分割する検討を行っているそうです。東芝本体とグループで手掛ける事業をインフラ事業、デバイス事業、半導体メモリー事業に振り分けて3つの会社に再編成し、それぞれの事業を上場させる方針です。2年後をめどに実現させる方向で、新しい中期経営計画に盛り込む予定です。


総合電機メーカーは我が国のインフラである発電所から消費者向けの家電まで幅広く手掛け
日本の高度経済成長を支えてきました。その代表格である東芝が株式市場を意識し、コングロマリット企業(=複合事業体)ゆえの企業価値の目減りを防ぐために分割することが理由です。日本の産業界における歴史的転換点となるのか、その本質を見極めたいと思います。


東芝はグループで発電設備、交通システム、エレベーター、ハードディスク駆動装置(=HDD)、半導体など多くの事業を手掛けています。2021年3月期売上高3兆543億円の内、6事業セグメントが2千億~8千億円を各々稼いでいますが、複合企業としての株価が、各事業の価値合計より割安となるコングロマリットディスカウントを解消する為です。


確かに様々な事業を手掛けるコングロマリット企業は、各々のセグメントごとの事業実体が分かり難く、各々の事業価値を単純に合計した評価額がそのコングロマリット企業自体の株価にならないことが往々にしてあります。しかしそれは、コングロマリット企業としての将来に向けた事業戦略や各々の事業間の相互補完効果を打ち出せていないからだと思います。


コングロマリットとしてビジョンや経営戦略を打ち出せない企業ほど、組織的に閉塞感が漂っており、低迷する株価を高めることばかりに目を奪われがちとなり、株価経営などという短視眼的に目先の利益を追い求める経営を執りがちとなります。株価と業績を結び付けて参考程度にするのは良いのですが、株価を目的としては負のスパイラルに陥ってしまいます。


東芝の問題点は、寧ろ粉飾決算など度重なる企業不祥事から見て取れる様に、連結子会社296社、連結従業員数11万7300人(=何れも2021年3月末時点)を擁する、巨大なピラミッド型縦割り階層組織であることから、グループ社内での仕事の進め方が非常に官僚的であるのではないかと思います。現場と経営者の距離が隔たり過ぎているのでしょう。


コングロマリット企業のトップにまで上り詰めるには、想像を絶する様なグループ社内政治力がなければならないと思います。日本型縦割り社会の弊害として、経営トップに上り詰めたとしても、自分の意のままに動く配下の存在がなければ、例え経営トップと言えども存分に手腕を発揮して経営執行することも出来ないでしょう。もちろん派閥が足枷となります。


その様な企業であるから、役職員が一丸となって将来に向けたビジョンや経営戦略を描き切れないものと思います。それがコングロマリットディスカウントの実体でしょう。例えコングロマリット企業であっても株主に適切な情報開示が出来ていれば、株価が低迷することはないと思います。肥大化しすぎた組織を小回りの利く規模に縮小するのも一方法でしょう。


今日もありがとうございます!
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