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HISの増資計画!

皆さん、おはようございます!
久しぶりに朝マックを楽しんできました。マックが日本に初上陸したのが1971年で、私が小学校1年生のことだったと思います。それから50年も経過し、すっかり国民の味として定着しています。非常に単価の安い商売ですが、ブランドビジネスの凄みを感じます。



格安旅行大手のエイチ・アイ・エス(=HIS)が2021年10月期連結最終損益が530億円の赤字(=前期は250億円の赤字)になるとを発表しています。新型コロナウイルス禍で旅行需要の低迷が長引き、売上の8割を占めると言われている主力の海外旅行の取り扱い収入が大幅に落ち込んだ(=2020年度の前年対比減少率は94%)のが理由です。


2021年10月期売上高は前期比71%減の1250億円(=2019年度は8千億円)営業損益は630億円の赤字(=前期は311億円の赤字)となる見込みであり、度重なる緊急事態宣言の発令により、海外事業のみならず国内事業も低迷している状況です。東証1部上場企業とはいえ、これだけの大幅な減収減益ではその存続すら危ぶまれてしまいます。


2期連続の経常赤字と純資産(=2019年10月期で1240億円)が前年比75%以上の水準維持が難しくなりますと、銀行団から借り入れた345億円の協調融資のコベナンツ条項(=財務制限条項)に抵触することになります。抵触すると原則、企業は融資の即時弁済を求められてしまいます。純資産は本年7月末時点で823億円まで減少しています。


2020年10月期の連結最終損益が166億円の赤字であったことから推測しますと、同期の純資産が1294億円(=前期の増資220億円を加味)、今期末で同764億円(=同)となっていますので、完全にコベナンツ条項に抵触していいることになります。そこでHISは、コベナンツ条項に抵触しないぎりぎりの215億円の再増資を表明しています。


創業者である沢田秀雄会長兼社長と英領ケイマン諸島の投資ファンドに対し、第三者割当増資と新株予約権の発行を実施します。いまのHISの実績と今後の見通しでは新株を引受けてくれる投資家もいないものと考えられることから、実態は沢田氏が全額を引受けるものと見ても良いでしょう。ただし、それでも今後の信用格付けの低下などへの懸念は残ります。


ここまで業績が悪化していますと経営再建策なども併せて発表しても良いように思いますが唯一行われたのは今年9月に本社を置く虎ノ門のオフィスビル(=神谷町トラストタワー)の4~5階フロアを324億円で売却した位です。1万5千人を抱える従業員(=国内は約5千人程度と推測)をJTB(=同3万人)の様に減らすという話しは聞こえてきません。


HISの店舗網は海外店舗がほとんどであり、国内店舗は代理店のため従業員がいないことが功を奏しているのかもしれません。ただし、子会社で長崎ハウステンボスや変なホテルという名称を冠する国内ビジネスホテルを保有しており、手放せるものなら不動産のみを投資ファンドなどへ売却を行い換金しておきたいというのが正直なところではないでしょうか。


HISは早い時期からIT(=情報技術)を採り入れ効率的な事業運営がなされていますが航空事業やホテル事業などが足を引っ張る事業構造だと思います。緊急事態宣言が解除され国内旅行需要は回復に向かいつつありますが、主力の海外旅行の回復は見込めない状況にあります。同社は国内旅行の取扱高を2019年度比で4倍に増やすとのみ言及しています。


今日もありがとうございます!
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