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ウィーワークの上場!

皆さん、おはようございます!
事業を行う上で、一つの理想形を達成していくためには、気負うことなく自然体で歩んでいかなければならないと思います。事業はあらゆる利害関係、資源、環境という制約のうえに息づく硝子細工の様なものかもしれません。それら全ての機が熟し時に物事が成就します。



米シェアオフィス大手、ソフトバンクグループ(=SBG)が筆頭株主のウィーワークがニューヨーク証券取引所に上場しています。経営難に陥り2019年9月に新規株式公開を断念してから2年が経ちますが、SBG主導で再建を進めたところに新型コロナウイルスの感染拡大が直撃し、赤字を脱却できないまま特別買収目的会社との合併を活用した上場です。


上場時の時価総額は約1兆円であり、経営難が表面化する前のピーク時の評価額より8割ほど低い水準です。SBG主導で経営陣の刷新や不採算のリース契約の見直しなどを急いだ末の、それも特別買収目的会社という裏口入学といっても良い形での上場となります。上場させることが目的と化したウィーワークですが、あるべき姿から逸脱している様に思えます。


SBGは2017年に傘下のビジョンファンドを通じてウィーワークに投資をしています。当初は人工知能(=AI)を活用して入居者のコラボレーションプラットフォームをつくり様々な事業を創出、これまでのオフィス空間を変革すると期待されていましたが、実態は単なるオフィス転貸事業という以前からあるビジネスモデルに過ぎなかったと言われてます。


筆頭株主のSBGにとって懸案の一つが決着した格好ですが、ウィーワークにはSBG本体と傘下のファンドを通じて計約1兆1千億円もの資金を投下しており、今般の株式公開によっても大幅な損失を被った訳で、孫正義会長兼社長も投資の失敗を認める事例となっています。そんなSBGですが2021年春から投資ペースを再び上げており危うさが漂います。


2019年に始動したビジョン2号ファンドを通じて平均1日1社のペースで新規投資を決めているので驚かされます。投資ペースを上げたことで、意思決定にかける時間も短くなることでしょう。ウィーワークの様な実力を伴わないテック企業が含まれてしまう可能性があると思います。ただし、1号ファンドに比べて1社あたりの投資額が小さくなっています。


確かにテック系スタートアップには、壮大な事業構想があり、それを実現していく為には巨額の資金が必要なことは言うまでもありません。しかし、スタートアップ企業であってもヒト、モノ、カネ、情報といった事業資源が揃えば事業として大成できるかというと、そこは運命のいたずらといいますか、上手く機微を捉えて行かなければ成功に覚束ないでしょう。


事業を営むにはセオリーがあり、一歩ずつ着実に事業基盤を固めながら少しずつ理想の姿に近付いていく忍耐が必要だと思います。誰しも一足飛びに理想形を追い求めたくなるものですが、それは机上の空論であり砂上の楼閣しか出来ないと思います。それを一番理解しているのは経営者であり、周囲の言葉に惑わされることなく我が道を行く位の度量が必要です。


そんな経営者に対し、周囲からは無責任な批判めいた進言がなされることもありますが、経営者には経営者のやむに已まれぬ事情があるものです。孫正義会長兼社長が率いるSBGのテック帝国を築き上げたい理想は理解できますが、ただマネーゲームの如く巨額のファンド資金を投資するのみならず、経営者に対して経営のあるべき姿を諭すことも必要でしょう。


今日もありがとうございます!
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