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共感資本ROIC!

皆さん、おはようございます!
朝起きて頭がスッキリしている時に、色々なことが閃くものだと思います。きっと前の日寝るまでの間に蓄えた情報(=形式知)が寝ている間に頭の中で整理され、長年蓄積されてきた経験知(=暗黙知)と融合することにより新しいアイディアが浮かぶものなのでしょう。



中四国地方で総合スーパー(=GMS)首位のイズミが、店舗ごとにROIC(=投下資本利益率)をKPI(=重要業績評価指標)にする検討をしているそうです。市場が限られ競争が激しくなるなか、積極出店やM&A(=合併と買収)で利益を伸ばす手法に限界がみえてきたからです。規模拡大と効率改善の両方を図るためROICに注目が集まっています。


売上が増えれば利益も増えるという考えが強かった為、イズミでは積極的に店舗投資を行ってきましたが、必ずしも投資額に平行する利益享受が出来ていないことがROIC導入の背景にあるそうです。イズミは中四国や九州でGMS「ゆめタウン」や食品スーパー「ゆめマート」を積極展開する1946年に広島駅前で露店から一大商圏を築いた実績があります。


ROICは、株主と債権者から預った資金を使い、どれだけ「効率的」に稼いだかを示す財務指標です。税引後営業利益を投下資本(=自己資本と有利子負債の合計)で割って算出されます。ROICはまた、投下資本の調達コスト(=自己資本と有利子負債の加重平均資本コスト)を上回っているかどうかで、理論株価が上下することを示す財務指標となります。


イズミの時価総額は2601億円と同社より売上高が多いライフコーポレーション(=2425億円)や同水準の高島屋(=2067億円)を上回っているのは、ROICが7.7%(=前期)と同業他社に比べて高い水準にあるからです。それでも足下の株価が4月の高値から2割強安くなっていることが、ROICという指標を導入する切っ掛けなのでしょう。


高い株価を維持できなければ、先日のイオンによる中四国地盤のスーパーであるフジの買収や百貨店グループH2Oによる関西スーパー買収などのように大手資本の傘下に入らざるを得なくなってしまいます。個人的には、これら資本の論理による規模の経済の追求は金太郎飴のような標準化された社会をもたらし、これからの個性的な社会に逆行すると思います。


その意味では、悪戯にROICを活用してしまいますと、やはり効率性ばかりに目を奪われるなれの果てが安易に店舗を標準化することに行き着いてしまいますので注意が必要です。もちろん安定して会社に資金が流入する構図を描くためにはROICも必要ですが、その導入による改革で店舗の競争力を高められなければならないことは言うまでもないでしょう。


競争力とは、お客様に愛される店舗を創出し続けることを意味します。確かにGMSやスーパーといったチェーンストアというものは、お客様が気軽に立ち寄り多くの商品をしかも安く提供する付加価値があります。しかし、どこの街に行っても同じ様な標準化された店舗がたたずんでいる姿にお客様もどこかもの足りなさを感じ始めているのではないでしょうか。


合理的に見える殺伐とした店づくりでなく、店舗の中に昔の商店街のような店主とお客様による何気ない会話があるヒューマンタッチな共感し合える部分があっても良いでしょう。その様な店舗を創るのも社員間の良好な共感し合える人的関係資本が為せる技です。ROICを創るのは共感資本であり、あくまでも結果を示す指標であることを忘れてはなりません。


今日もありがとうございます!
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