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SBIの新生銀行TOB!

皆さん、おはようございます!
組織のフラット化が進むにつれ、従来のような上意下達型のコミュニケーションが通じにくくなり、対話型コミュニケーションへの転換が求められています。決まったことを効率よく成し遂げる時代とは異なり、全員参加型の経営により柔軟に対応する必要があるからです。



SBIホールディングスは、新生銀行に対してTOB(=株式公開買い付け)を実施することを表明しました。すでに議決権ベースで新生銀行株式の19%超を保有しており、約1100億円を投じて出資比率を48%まで引き上げることを目指しています。TOB価格は1株2000円で、新生銀行の株価1440円を39%上回る条件での提示となっています。


買い付け期間は9月10日から10月25日までとなっています。新生銀行の取締役会の賛同を得て実施されるものであるかどうかは別として、社会的な意義を考えますとSBIの傘下に入り、同社が打ち出している「地銀連合構想」の中核に位置付けて、地銀とのサービス面での連携を深めて行くべきだと思います。SBIは全国8行との資本提携をしています。


SBIにとっては、新生銀行の総資産が約10兆円と地銀大手行並みの規模を持つほか、消費者金融などSBIにない強みを持つため、是が非でも手中に収めたいところでしょう。新生銀行を地方銀行の為の中核銀行に位置付け、新生銀行が持つストラクチャードファイナンス(=仕組み金融)ノウハウを活用し、地銀の収益力底上げに繋げたら面白いと思います。


新生銀行は、元々、戦後金融体制の中で大手企業をはじめとした産業金融における設備投資資金融資を司る長信銀に位置していました。当時の銀行名は日本長期信用銀行であり、バブル経済崩壊時に多額の不良債権を抱え込み、20年前に政府による公的資金が投下され管理下に置かれたままです。既に長信銀としての役目を終えており活路を見い出せずにいます。


一時は外資系ファンドによる投資を受け入れていた時期もありました。現在は、消費者向け金融への傾注を強めており、昔の日本長期信用銀行としての影は見る限りもありません。目先の利益を追求しており、理念に基づく将来ビジョンを描けないでいるのではないでしょうか。地銀再編の台風の目になれれば、新生銀行としても社会の為に生かされると思います。


SBIと新生銀行の間でも、事業上の相互補完効果が認められますし、両社連合による金融サービスをもって今までSBIが築き上げてきた8行の地方銀行との資本提携において支援体制の厚みが増すことでしょう。全国各地にある他地銀が追随し、更に地銀連合構想が充実していくものと思います。政府にとっても公的資金回収が確実になるメリットがあります。


いま地方銀行に求められているのは、高齢化が進み、かつコロナ禍で傷んだ中小企業の事業再構築を遣り切るサポート力と、少子高齢化で増える高齢者の金融資産運用に必要な多様な商品の提案力だと思います。それを全国各地に点在する小規模地銀が対応するにもノウハウが不足しており無理があります。SBIよりノウハウの提供を受ける意義が見い出せます。


地銀は、今まで培ってきた地域のお客様に如何に上質な商品を提供できるかが鍵でしょう。
ホールセール銀行とリテール銀行という概念でこの地銀連合構想を捉えてみると良いと思います。そのホールセール銀行の核として、既に本質的な目的を失っている新生銀行を改めて位置付けてみることは、日本の地域経済の活力を蘇らせるために必要なことと思われます。


今日もありがとうございます!
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