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ピーチ・アビエーション!

皆さん、おはようございます!
偉業を成し遂げた方の話しを聞きますと、論理的に物事を捉えるばかりでなく、その着眼点として閃きといった直感力によって導かれていることが理解できます。それは、言い方を換えれば経験の積み重ねである暗黙知を形式知化していく作業と同じではないかと思います。



全日本空輸(=ANA)が傘下LCCピーチ・アビエーション(=ピーチ)と路線再編する話題で持ち切りとなっています。元々、ピーチはANA系であったものの親会社から支援を受けない独立系のLCCとして、群を抜いた先進的なローコスト運航する航空会社の頭角を現わしたことで、その名を高めています。ピンク色の機体、制服どれも目新しいものです。


ジェットスター、バニラエア(=ピーチと経営統合)、エアアジアジャパン、春秋航空日本などの競合LCCを押しのけて、積極的に路線網を広げ、赤字がちであった業績のLCCが多い中で、唯一黒字を捻出し続けていたその経営手腕が目を惹いています。一度は独自独歩で創業したピーチですが、そんな革新的な航空会社をANAがほっておく訳がありません。


4年程前にANAは、ピーチの株主であった外資系投資ファンドや政府系投資ファンドより株式を買い集め、現在ではピーチの発行済株式数の77.9%までも保有するに至っています。当初は、設立時の経緯からピーチはANAの傘下に入ることに相当の抵抗を示したようですが、ANAの買収条件にピーチの独自性を堅持することが盛り込められたのでしょう。


そもそもANAやJALの様なフルサービスキャリア(=FSC)と言われる航空会社とLCCでは同じ旅客機を飛ばして収入を得るビジネスモデルであっても、似て非なるものと受け止めるべきものです。運航コストを比較しますと、FSCに対してLCCは半分以下と言われています。機材の稼働率が高い他、乗務員が一人何役も仕事をこなしているからです。


そもそもフルサービスキャリアは、国内航空業界を政策的に長きに渡り護送船団方式を採って来たこともあり、現在の様な業界内他社との競争がなく、安全に運航することのみが経営の拠り所となり、航空会社として業務を標準化させながら現在に至った経緯があります。何にも増して安全性を大切にすることは必要ですが、過剰なサービスまでは必要ありません。


コロナウイルス禍にあって、ANA、JAL共に未曾有の業績悪化に見舞われています。足下の旅客数は一昨年に比べ国内線は3割程度に、国際線は1割程度にまで落ち込んでしまってます。フルサービスキャリアのコスト構造で運航を続けては赤字の垂れ流しとなりますので、運航コストの安いLCCに変えて運航を維持したいと考えるのは当然のことでしょう。


本来は、この機会にFSCの事業構造を抜本的に再構築すべきなのでしょうが、一度完成させた事業構造を改編することほど難しいものはありません。ナショナルフラッグキャリアとしての名を欲しいがままにした従業員の高止まりした給料を下げられない事は、誰しもが察することだと思います。それだけ企業組織として成熟してしまっていると言えるでしょう。


その様な最中の路線再編です。折角、独自路線を歩んできたピーチなのですが、ANAの傘下にあることにより、FSCの考え方を押しつけられてしまいLCCとしての持ち味が失われないか危惧するところです。LCCとしてのビジネスモデルを堅持して行くことも必要ですが、それ以上に創業時の社員一同が一丸となった士気を維持して行くことが不可欠です。


今日もありがとうございます!
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