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財務指標の常識を疑う!

皆さん、おはようございます!
新しい事業を開発するのに、先達の常識や慣習を採り入れることは簡単で卒なく事業を立ち上げることが出来ます。しかし、オリジナリティ溢れる事業を開発するには、自分ならではの判断基準を悩みながら編み出して、それを拠り所とすることが醍醐味となるのでしょう。



米日用品大手のコルゲート・パルモリーブの自己資本利益率(=ROE)が、600%超もの凄い数値を叩きだすという快挙を遂げています。もちろん、この数値は世界の主要企業の中で1位であることは言うまでもありません。世界シェア40%の歯磨き粉による安定した現金創出力を背景にした極端に高いレバレッジ経営は、日本で異質の財務戦略といえます。


コルゲートは創業100年を超える老舗企業で、歯ブラシ、ペットフードなどを手掛けています。新型コロナウイルス下でも北米などで歯磨き粉のシェアを伸ばし、2020年12月期の売上高は164億ドル(=約1兆8000億円)、純利益は26億ドルです。ROEを売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジの3つの要素に分解してみたいと思います。


まず目を惹くのが財務レバレッジ(=総資産÷自己資本)の高さで、コルゲートは36倍に達し、米企業平均の2.9倍を大きく上回ります。自己資本比率は4.7%という低さであり、2015年から2018年までは資産総額より負債総額が大きい債務超過が続いていたそうです。自己資本を究極にまで減らせば、財務レバレッジが高まるのは当然のことです。


いま先進各国の企業は、ROEを高める経営を競い合っていますが、それは飽くまで企業が限られた自己資本を活用して、如何に効率よく運用して収益を高めていくかに過ぎないことに留意が必要です。いまは資本が世界中を駆け巡り、最も効率よく運用してくれる企業に投資をすることがグローバルスタンダードとなってますが、それは一つの概念に過ぎません。


資本の論理とは、持てる資本を少しでも高いリターンが得られる所で運用することですが、その様な資本市場の原理が果たして私たちの幸福の必要充分条件になるかといいますと、それはあくまでも一つの側面にしか過ぎず、私たちの精神的な欲求までも満たすものではありません。何故いまの社会がそうした視野の狭い価値基準に偏ってしまっているのでしょう。


確かに産業革命以降の企業は、生産設備などが収益を稼ぐものとして思考の中心に据え、集めた資本をそれらに集中投下してきた歴史があります。会計や財務などの考え方を見ましても、投下した資本が、どの様な資産で運用され、その結果として投下した資産を上回る収益を上げることにより利益が把握できることを前提に、各々の論理が展開されてきています。


全ての発想の原点は「資本(=お金)」を前提に捉えられていますが、果たしてこれからの時代もそうなのかは疑問を持たざるを得ません。情報化社会においては、収益を創出する飯の種は資本でなく、人間が持ち得る英知、言い方を変えればヒューマンキャピタル(=人的資本)であることは、誰しもが薄々感じていることだと思います。暗黙知と形式知です。


そうであるなら、会計や財務もその人的資本の投入量に対する成果を量る枠組みに変容させていかなければ、これからの企業の業績を見誤ってしまうと思います。現在はコストにしか過ぎない人件費が実は資本なんです。情報化社会は、現在の私たちの常識や慣習を根底から覆すインパクトを持っています。その様な視点に立ち自由に発想することが大切でしょう。


今日もありがとうございます!
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