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銀行改革の盲点!

皆さん、おはようございます!
午前4時ともなりますと、既に辺りは明るくなっています。考えてもみれば、間もなく6月になりますので夏至が近づいているからなんですね。半年前の冬至と対比をしてみましても三寒四温、季節の移り変わりを肌で感じ取れるなんて、少し贅沢な気もしてしまいます。



業務の範囲が制限されてきた銀行に人材派遣やシステム販売などを新たに認める銀行法改正が為されました。これにより事業会社への出資上限を原則5%(=持株会社では15%)としてきた規制も緩められ、地元産品の販売など地域経済に寄与する非上場企業に100%出資することも可能となります。事業環境が悪化している銀行の収益機会を広げる狙いです。


銀行の業務範囲の規制緩和では、銀行本体や子会社でシステム販売、登録型の人材派遣、データ分析や広告宣伝業務が扱えるようになります。非上場で再生局面にある事業会社や新興企業に対して上限を超えて出資するための要件を緩めることを骨子としています。これにより、銀行が100%子会社で地域産品を取り扱う地域商社を行うことも可能となります。


また、地域金融機関の合併や統合を後押しする為に、補助金を交付する金融機能強化法改正も同時に為されています。システム統合や店舗統廃合で生じる初期投資を対象として、預金保険機構の剰余金を使って支援することも可能となります。これら法改正から読みとれる文脈は、地域金融機関の広域再編を促しビジネスモデルの変革を迫るものだと言うことです。


お客様から広く預金を預かり、地域の主に中小企業向けに融資で運用するという従来のビジネスモデルだけでは事業が成り立たなくなっていることから、中小企業が必要とする情報システム、人財、マーケティングといった機能を規模を拡大した地域金融機関が提供できる様にすることで、総合ソルーションを提供する銀行ビジネスモデルへの転換を促すものです。


いわば中小企業への経営コンサルティング機能を強化する新しい銀行ビジネスの青写真ではありますが、ただ地方銀行を再編統合させ収益機会を増やすお膳立てを整えただけで、果たして実効性をともなうのか疑問も残ります。銀行には、その発祥の段階から根強く残る貸付リスク管理とそれに伴う顧客との情報非対称性という本質的な問題を抱えているからです。


そもそも銀行というものは、市場経済における必要な資金を循環させる役割を司っている訳ですが、それは個人が持つ余資を自ら運用し管理して行くには限界があるからです。最近でこそ、ソーシャルレンディング(=投資型クラウドファンディング)により個人が自ら資金を事業主体に貸し付けることが出来るようになりつつありますが様々な課題を抱えてます。


貸付先の事業状況を把握管理することが難しいのですが、その社会的役割を銀行が代替して担っているところに銀行業としての目利き力としての本質があります。しかし、その銀行も事業環境の変化や迫りくる合理化の流れの中で、貸付先企業の財務諸表を表面的に鵜呑みにする様になり、事業の目利き力(=リスクマネジメント力)が形骸化してしまっています。


銀行、特に地方銀行が、お客様企業に資する経営支援企業を拡充するのであれば、まずは銀行ビジネスの根幹である事業の目利き力を改めて確立させる必要があります。そのリスク管理ノウハウによってリスクテーク(=負担)した結果として、適正な利益を享受している訳です。このことは様々な経営コンサルティング機能を提供する場合にもあてはまるのです。


今日もありがとうございます!
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