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航空再編の幕開け!

皆さん、おはようございます!
組織運営の難しさは、どう良好な人間関係を作るかということと、そこに所属する人たちのモチベーションを高めるかにあると思います。どんなに立派な経営理論や企業理念を高らかに掲げても、人はそれぞれ価値観が異なりますので如何にそれを共有するかが大切です。



北海道が地盤の航空会社AIRDO(=エア・ドゥ、札幌市)と九州を拠点にするソラシドエア(=宮崎市)が2022年秋を目指し共同持株会社方式での経営統合を検討しているようです。コロナウイルス禍の拡大で旅客数が激減する中、資材調達や機体整備の共同化による経費削減を目指します。コロナ禍を背景とした航空再編はこれから本格化するでしょう。


共同持株会社の傘下に両社を置き、各々のブランドは維持する方針です。両社の筆頭株主である日本政策投資銀行には、各々数十億円の優先株引受けによる資本支援を要請することになっていますが、ただ単に資本注入を受けるだけでは抜本的な改善にならない為、自助努力として経営統合することによる効果を条件としていると見るのが自然ではないでしょうか。


具体的な経費削減効果として、燃料や資材の共同仕入れで調達コストを下げる他、人事や経理などの間接部門の共通化や両社が使く機体の整備を一本化することを視野に入れてます。
それよりもっと大きな経費削減効果として、各社が持つ予備機を共同で所有し減らすことも出来ますし、運航乗務員や客室乗務員を一体的に管理運用することも考えられるでしょう。


AIRDOの前身である北海道国際航空とソラシドエアの前身であるスカイネットアジアはともに、1990年代後半に為された航空規制自由化の流れの中で難産の末生まれた経緯があります。そして、両社ともに2000年代初頭に経営破綻をしており、ANAの支援の下経営を立て直してきた共通点があります。売上規模も同水準で約400億円となってます。


使用する機材も小型ジェット機ボーイング737に統一されているという点で相性が良いと思います。航空事業の構造というものは、華やかなブランディングや事業拠点の違いから表面的には異なるものと思われがちですが、その実財務構造は全くと言うほど似通っているものです。運航路線は異なれど、同じ機体を使用していれば同じ様な財務結果となります。


異なるといえば資本政策でしょうか。AIRDOは創業時に道民の翼であることを強調して株式を小口化して広く道民から資金調達した経緯がありますが、核となるスポンサーが無かった為に新規就航早々、民事再生法申請に追い込まれた経緯があります。一方のソラシドエアは、AIRDOと同じ頃から創業準備を行っていたにも拘わらず資金調達に苦戦します。


就航が2002年に遅れたのも、九州を発祥とする旭化成からの出資を受けるまでに紆余曲折があったからです。そんなソラシドエアも早々2004年に資金が行き詰まり破綻した経緯を持ちます。航空事業というものは、創業時から機材のみならず、予約システム、乗務員整備士などに1000億円近い初期投資を行わなければならない特殊な事業と言えます。


一方、獲得する路線は許認可により財産と言われるほど確定利回りの収益基盤となりますので、ANA、JALにとっても喉から手が出るほど欲しい利権となっています。航空自由化とは言いましても、結局は行政のさじ加減により左右される事業です。今回のコロナ禍を背景とした航空事業再編は、ANA、JALを巻き込んだ形へと発展していくと思います。


今日もありがとうございます!
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