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ニトリが外食進出!

皆さん、おはようございます!
企業価値経営といいますと、ひと頃は企業の経済的な価値を指すものとして理解されていましたが、それは飽くまでも結果論にしか過ぎず目的にはなり得ません。いま必要なことはやはり企業がどの様な理念を持ち何を成遂げていくかというプロセスこそが問われています。



ブルータスよお前もか?!ではありませんが、家具・雑貨の分野で商品開発、材料調達、生産から物流、小売販売に至るまで自社で行う製造小売り(=SPA)のビジネスモデルを展開するニトリホールディングスが外食産業に参入しています。この新しい事業の店舗ブランド名は「ニトリダイニング みんなのグリル」といい、既存店に併設する形での進出です。


競合他社といえばIKEAが思い浮かびます。IKEAもショールームを思わせる独自の販売手法で、お客様が巨艦店舗を回遊しながらショッピングを楽みますが、ちょうど疲れた頃にあらわれるダイニングで北欧料理に舌づつみできるフロアー構成となっています。北欧の生活を垣間見ることの出来るその店舗構成は、まるで小売店というよりテーマパークです。


あまり知られてませんが、20年程前にユニクロを展開するファーストリテーリングがアパレルで確立したSPAというビジネスモデルを活かし、野菜生産の分野に進出した時期があります。色々と思考錯誤したあげく撤退した経緯がありますが、その頃の同社は次なる成長戦略を描くべく模索していた時代であり、現在は海外展開に経営資源を集中させています。


さて、今回のニトリの外食事業への参入ですが、同社としては卸を通さずに食材を調達し、店舗では自社の家具や食器を使うなどして運営コストを下げ、低価格を訴求したステーキ店を開業しています。確かにチキンステーキが500円と安いと感じます。集客面で家具店との相乗効果によりお客様の滞在時間が伸びて客単価が増えることも期待しているようです。


将来的には、畜産等にまで手を広げ、家具と同様に生産から販売までの一貫生産を目指すそうです。確かに家具・雑貨店舗ニトリの付帯サービス機能として位置付けるのであれば、大儲けは出来ないかもしれませんが、来店されるお客様の一定の利用が見込めるでしょう。ところが、将来は独立した路面店や他の商業施設への出店も視野に入れているので驚きます。


ここでニトリの経営理念を見てみますと「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」とあります。「住まいの豊かさ」を実現していくためには、誰もが気軽に買える価格設定と、高い品質・機能を両立させることが必要と捉えています。住まいに必要な家具と雑貨の価格、品質、機能を訴求することが同社の使命でであるなら、外食は本業ではないことになります。


時代の流れは、価格、品質、機能はあたり前のこととして、そこにニトリの経営理念を含めた企業哲学にお客様や取引先が共感できるかどうかが問われることになります。これまでの物量的なスケールメリットの追求を前提とするビジネスモデルは、マスプロダクトでありお客様の深層にある本当の意味での欲求を満たしているのか甚だ疑問を持たざるを得ません。


また、SPAというビジネスモデルの成功体験を畜産にまで広げるほどの知見は持ち合せていないと思います。企業として蓄積されている知見のDNAは、やはり住まいに関わることであり、もっと私たちの住まいの豊かさを追求していくべきでしょう。まだまだ、生活の大切な時間を占める住まいは均質化され過ぎており、もっと個性的になっても良いでしょう。


今日もありがとうございます!
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