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日本貨物航空の事業価値が5倍に!

皆さん、おはようございます!
スポーツサイクルを再開することにしたのは、学生時代に北は網走から南は鹿児島までツーリングをした時の爽快さが忘れられないからです。自分の脚で大地を踏みしめながらアップダウンを一歩づつ前進していく達成感が、今の私のリズムに合っているのかもしれません。



JAL、ANA、LCCなどの旅客を輸送する航空会社は、華やかであり知らない人はいないと思います。しかし、国内に日本貨物航空(=NCA)という貨物専門の航空会社があることは、意外に知られていないのではないでしょうか。ボーイング747F(=貨物機)を8機使用し、欧米やアジア諸国と日本の間を結ぶ国際定期貨物便を運航する航空会社です。


戦後日本の定期旅客航空事業再開当時より定期貨物専門航空会社設立の話しが出ては立ち切れとなり、難産の末ようやく1978年に大手海運会社の共同出資により会社が設立されますが、日米航空交渉が難航し初めて貨物定期便を米国に飛ばしたのは1985年5月になります。当時は航空事業の規制があり国際線の運航はJALのみと定められていた時代です。


JALも旅客機に貨物を搭載するほか貨物専用機を保有していましたので、NCAの国際定期貨物便の運行には相当の難色を示していたと思います。そのせいか、このNCAの株主としてANAが参画し、運航や整備面の支援を行っていたところが、この会社の歴史を物語っています。そんな経緯のあるNCAですが、現在は日本郵船の連結子会社となっています。


なぜ日本郵船の連結子会社であるかといいますと、このNCAという会社は開業以来、赤字体質が続いているからです。貨物航空事業の難しさが窺い知れますが、航空貨物運賃は船便に比べて相当に割高で、その様な高コストでも運ばなければならない貨物は電子部品や医療品などの付加価値の高い貨物に限定され、かつ運賃が需給により上下する課題があります。


景気に左右されやすい事業体質であることから、当初資本参画していた海運会社やANAが日本郵船に株式を売却してしまい、その日本郵船までがNCAの売却先を模索している状況にあります。いままでにもJALの貨物事業との統合の話しや、ANAや米系貨物専門航空会社への売却の打診などを行っている様ですが、具体的な話しには至っていないようです。


そんなNCAの事業価値が3年前の5倍となる約2200億円に跳ね上がっています。新型コロナウイルスの特需で貨物需要が大きく上振れをしており、2022年3月期予想経常利益が約200億円になる模様だからです。NCAの売却を意思決定している日本郵船にとっては、連結業績が予想を大幅に上回り株価の上昇に寄与しており悩ましい現実のようです。


NCAの事業価値が高まれば、買収価格のハードルが上がってしまい、売るに売れない状況になってしまうからです。確かにB747Fの1機あたりの価格が約250億円ですので、8機分を合計しますと約2000億円です。3年前のNCAの事業価値であれば約440億円ですので、買収予定の航空会社にとって機体を購入するよりもメリットがありそうです。


ただし、このNCAが保有するB747Fという機体は、エンジンが4つ搭載されており、昨今の双発機に比べますと、単純に考えても燃料等の運航コストが割高になるというデメリットもあります。世界中の貨物専門航空会社を見ていますと、老朽化した機体を騙しだまし使用しているという現実が見え隠れします。今後のNCAの去就が注目されるところです。


今日もありがとうございます!
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