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金融機関の目利き力!

皆さん、おはようございます!
長男がつくばエクスプレス沿線のおおたかの森に転居し、はじめて訪れてみました。駅前には新しいショッピングセンターが構え、駅を中心に放射状に新興住宅街が広がります。昔は一面に田んぼが広がった地域とのことですが、良くできた都市開発に関心させられました。



最近の金融機関は、それまでの担保や保証を重視する融資姿勢から、事業そのものの将来性を判断する事業性評価融資への転換を迫られながらなかなか実態がともなわず、その存続すら危ぶまれる状況だと思います。社会の変革期において、新しいビジネスの創出が求められる中で、その様なビジネスに資金が行き渡らず、金融機関の信用創造機能が喪失してます。


金融機関は、経済を円滑に廻すために必要な血液である資金を循環させるポンプの役割を司っているにも拘わらず、その責務を遂行しているとは言えないと受け止めます。この目詰まりを起している信用を創造する役割を改善しなければ、これからの日本の経済を健全に転換させることすら覚束なくなってしまうでしょう。金融機関の何処に問題があるのでしょう。


今の金融機関の原型が作られたのが、戦後、当時の大蔵省の優秀な官僚による護送船団方式です。大手企業に長期資金を融資する長信銀、短期資金を融資する都銀、地方の有力企業に融資する地銀、中小企業に融資する信金、そして組合員に融資する信組というように、担当する顧客層を棲み分けられた上で、貸出金利も規制された完全に保護された業界なのです。


その様な競争関係のない状況の中で育ってきた金融機関は、金融ビジネスを研ぎ澄まされることなく、バブル経済絶頂期に為された金融行政による規制緩和により突如として大海原に放り出されることになります。しかも、土地価格高騰を鎮静化させる為に行われた不動産向融資の総量規制が土地価格の下落をもたらし、多くの不良債権を抱え込むに至っています。


その後のデフレ経済を背景とした長引く低金利政策が金融機関の体力を摩耗させており、金融機関は融資により利ザヤを稼ぐビジネスから、手数料ビジネスへの転換を選択する様になっています。金融機関も存続をかけた対応を迫られている訳ですが、結果的に社会的な存続意義である信用創造力まで失ってしまっている所に問題の本質が見て取ることが出来ます。


信用創造力とは、一重に金融機関が企業などに融資をする際に行う「事業の目利き力」のことなのですが、金融機関の戦後からの変遷を見ていますと、この事業の目利き力を育むことなく現在に至ってしまっていると思わざるを得ません。その上、現在の経営合理化の必要から、融資審査をスコアリングしたりAIを活用する等、益々損なわる結果となっています。


事業の目利き力を養うためには、お客様である企業に真摯に向き合うことは当り前のことですが、もっと人間臭く経営者と交わっていくことが必要でしょう。その際にバンカーとして考えるべきことは、仮に自らの資金を融資するとして、そのリスクを自ら負うことが出来るかまで腹が据わっているかどうかだと思います。理屈で考えても出る答えではありません。


金融ビジネスとは、本来、その様な全人格的な人間の幅がものを言う商売だと思います。いまの金融機関には、その片鱗すら見ることが出来ません。これは金融機関に限ったことではないかもしれません。事業というものは、それを興した人の魂が宿っていなければ、継続させて行くことすら覚束ないでしょう。それを感じ取る感性がバンカーに求められています。


今日もありがとうございます!
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