誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

ANAの新しいビジネス 3!

皆さん、おはようございます!
数字とは曖昧さがなく物事を端的に表現してしまうので、それに捉われないように気を付ける必要があります。人間には、何事にも捉われることなく自己の内面から発せられるエネルギーが存在しており、それに従うためにも数字を鵜呑みにすることのない態度が必要です。



戦後、航空事業の黎明期に設立された日本ヘリコプター輸送株式会社という会社が全日本空輸(=ANA)の前身であることは意外に知られていないと思います。今でもANA社員の襟元にはレオナルドダビンチが描いたヘリコプターが社章として付けられています。官主導で設立された日本航空に対し、ANAは民間主導により設立された背景の違いがあります。


当初政策的に、日本航空は国際線と国内幹線、ANAは国内幹線と地方路線、日本エアシステム(=旧東亜国内航空)は地方路線を担当するように棲み分けが為されていました。1990年代からの航空事業自由化により、それら各社の担当路線が撤廃され、いまではANAがナショナルフラッグキャリアと言われるほど、一気に路線網を拡大した経緯があります。


そんなANAですが、現在のコロナウイルス禍においては、事業規模を拡大したことが裏目となってしまい、2021年3月期の決算発表では4千億円の巨額な損失を計上するに至っています。航空機という装置を使用した固定費ビジネスの難しさでもありますが、旅客収入が大幅に目減りしても、減価償却費、リース料、人件費等の経費は減ることがありません。


少しでも旅客機を遊ばせることなく売上を上げるべく、国内チャーターフライト、駐機中の機内で機内食を提供する機上レストラン、機内結婚式など、新たなサービスを矢継ぎ早に提供している様は、その柔軟な企業文化が伺い知れます。2回に渡り連載してきたANAの新しいビジネスからも、時代に合わせて事業を変革していこうとする意気込みが伝わります。


ビジネスジェット事業、ドローン輸送事業は、今までの航空事業で培ってきた本業での技術力を派生的に活用するものであり、いわば航空事業のカスタマイズ化、ロングテール化と言えるものだと思います。その様な事業構造改革の取り組み中で注目すべきは、ANAセールス、ANAXといわれる、営業部隊とマイレージ部隊を戦略的に改編しているところです。


ANAXは、ANAセールスから個人の国内・海外旅客営業部門を移管され、従来のマイレージ事業のほか、ライフサービス事業やデジタルチャネルの航空券販促事業を担います。ANAスーパーアプリというプラットフォームを起点に、航空券や旅行にとどまらず、不動産金融、保険など、幅広い商材を取り扱うデジタル市場を形成する壮大な野望を持ってます。


一方、ANAセールスはANAあきんどと社名を変更し、従来の法人向セールスを継続するに留まらず、地方創生事業を目玉に据えています。ただ単に、航空便の利用を促すための営業活動に終始するのみならず、ANA便が就航する地方都市の地域産品や観光資源の開拓や販売促進、一次産業の振興など、地域商社としての活動に取り組んで行こうとしています。


確かに航空事業の資源を活かした新たなビジネス展開としては、時流にあっており本業との相互補完効果も期待できるでしょう。今まで点を線で結んできたビジネスモデルを面で捉え直すところが面白いと思います。このように見ますと、ANAにとっての競合は楽天や総合商社という異業種になってくるものであり、総合生活産業としてのこれからが楽しみです。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する