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「いつも」が200ブランド買収へ!

皆さん、おはようございます!
「英知」と「勇気」があれば「情熱」が迸り、年齢に関係なくいつまでも若々しくいられる。ある84歳になる現役のビジネスマンが発した言葉が脳裏に焼きついています。これを研ぎ澄まされた知見とそれに裏付けられた行動力と捉えればエネルギーが湧きでてきます。



電子商取引(=EC)市場で、中小出店者のブランドを買収して自社の傘下で成長させる取り組みに、いよいよ日本の企業も参入する様です。この新しい事業を手掛けるのはEC販売支援事業を営む東証マザーズ上場「いつも」であり、中小出店者の200ブランドを買収する計画です。今年に入り米セラシオが日本市場に参入することを明らかにしたばかりです。


こうした中小出店者を買収し束ねる取り組みは欧米が先行しており、草分けである米セラシオは米国でアマゾンに日用雑貨などを出品する約100社を買収し、2020年度の売上高は5億ドルを突破しています。「いつも」も同様のビジネスモデルを目指しており、インテリア、コスメ用品などを手掛ける中小ブランドの商標権や商品の販売権を買い取ります。


アマゾンや楽天などECでの売上が0.5~3億円の出店者を対象に、200ブランドの買収に少なくとも30億円を投じる計画です。事業者によっては、必要に応じて出資して経営権を取得することも検討するそうです。ECに特化した販売促進策を導入して中小ブランドの増収につなげる他、出店者を束ねることでアマゾンなど大手ECへの交渉力も高めます。


買収先に対して、新商品の開発、物流、ECサイトの検索で上位に表示させるノウハウなどを持ち込んで収益力を高めるほか、アマゾン、楽天、ヤフーなど複数のECサイトを対象に販売戦略を立てることで、日本市場における米セラシオとの競争に打ち勝つことができるとみています。既に4月にブランド買収事業を担う専門部署や投資会社を立ち上げています。


この「いつも」という会社自体、ECサイトの勃興期である2007年に設立され、それ以来、メーカーのECサイトの運営代行事業、出店者向けの販売促進事業、物流支援事業などを手掛け、2020年12月にマザースに株式公開したばかりです。2021年3月期の売上高は前年対比64%増の86億円、営業利益は同3.1倍の約5億円を見込んでいます。


既存事業で培ったノウハウや顧客網を新しいビジネスで活かそうとする、当然の帰結としての取り組みだと思います。しかし、ビジネスモデルを俯瞰すれば、既存のEC支援事業から物販小売業への参入を意味するブランド買収事業は、商品の在庫負担を持たなければならなくなるなど、必ずしも見た目の合理性とは異なる新しいノウハウも必要になると思います。


それ以前の問題として、「いつも」の企業理念めいたものが見出せないことが心配です。代表者挨拶の末文に「ますます変化するEコマース市場で、当社は世界・日本の企業の変革を加速させていきます。」という、それらしき一文があるのですが、企業の変革を加速させた結果として、事業を通しどのような社会創りを目指していくのかが欠けている気がします。


例えば、情報化社会が中小企業にもD2Cという新しい可能性が見出せることを強調して、プロシューマ社会の実現を目指していくなど。その様な企業としてのお題目が明確になりますと、必ずしも200ものブランドを買収しなくとも、資本業務提携によりお客様の企業に対する経営や販売にコミットして、プロフィットシェアすることも考えられると思います。


今日もありがとうございます!
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