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日立製作所、M&Aで構造転換!

皆さん、おはようございます!
4月も中旬に差し掛かろうとしています。月初から中旬までの予定が埋まってしまっておりそれをこなすのと急を要す予定のやり繰りに四苦八苦するという状況でした。今月も既に月末までの予定がほぼ埋まってしまっています。お客様のことを思うと手抜きもできません。



日立製作所が米IT(=情報技術)大手グローバルロジックの買収を行い、産業向け機器から家電までを手掛ける製造業の強みを活かしつつ、データを駆使したデジタル企業への転換を目指すそうです。電機業界で過去最大級の1兆円を投じ、遅れが目立つIT事業の世界展開を一気に進める狙いです。欧米の競合が先行していた製造業ソフト化が加速しそうです。


グローバルロジックは、2000年にシリコンバレーで創業し、デジタルトランスフォーメーション(=DX)を支援するシステムを提供しています。年間売上高は1000億円強で米通信大手Tモバイルやスウェーデンの商用車大手ボルボなど欧米の大手企業を中心に世界400社超の顧客を抱えています。スイスの大手投資ファンド等から全株式を取得します。


日立製作所は約7兆円の売上高を誇り、鉄道やエレベーター、自動車や家電機器、エネルギーの他、電源設備等産業インフラ向け機器を商品群に持ち、変圧器は受注額世界No.1のシェアを持っています。しかし、中国勢などの追い上げが激しく、ハード機器を売るだけでは十分な収益を確保できなくなっていることも現実の問題として浮き彫りになっています。


対応策としてデータ収集や分析を駆使した独自のIot(=全てのものがインターネットに繋がる)基盤サービスを2016年に投入しています。例えばエレベーターの機器とIot基盤サービスをセットで売り込み、センサーデータを基に故障を予知して早期に部品交換を促すビジネスを展開しています。鉄道でも同様にIotサービスを顧客に提案しています。


これらIot基盤サービスは、システムの利用に応じて課金され売上が発生するため、ハード機器売上と組み合わせて販売すれば利益率の向上に繋がるというメリットがあります。また、日立のもう一つの課題は海外展開に遅れていることが上げられます。世界展開しているグローバルロジックを傘下に納めることにより、その弱みを補完することが期待されます。


製造現場などから吸い上げたデータを活用し、経営全体の改善にまでつなげるシステム構築などに強みがあるグローバルロジックの存在は、DXを推し進めたい日立にとって不可欠な事業資源だと言えるでしょう。国内企業による海外企業のM&Aが盛んに行われるようになっていますが、その多くは市場シェアを高めるための止むを得ない買収であると言えます。


その様な中、今般の日立のM&Aは事業構造を抜本的に転換する起爆剤になることから、他の一般的なM&Aに比べ積極的に評価しても良いものと思います。いままで経営資源の選択と集中を行ってきた成果がここに結実しているとも言えると思います。恐らく、自前主義に拘ってIot基盤サービスを内製していたら、世界中の競合他社に後れを取るばかりです。


1兆円という買収価額については、そのほとんどが営業権であることを考慮しますと、決して安い買い物であるとは言えません。しかし、本当に日立がグローバルロジックとのDX化をやり切りIot基盤サービスを築き上げられるならば、社運を賭けた投資であるとして、今後の成り行きを見守っていく価値があると思います。久々に見る素晴らしいM&Aです。


今日もありがとうございます!
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