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米ウィーワーク上場へ!

皆さん、おはようございます!
昨日は久しぶりに完全なオフタイムと決め込んで一切パソコンにも向かわず、ドライブに行ったり、読書をしたり、買い物をしたりすることで、少々疲れ気味の心身をリフレッシュしていました。先週は時間に追われてしまい、自分の気持ちに素直に従うことも必要ですね。



米シェアオフィス大手ウィーワークは、特別買収目的会社(=SPAC)を通じて2021年後半に米株式市場に上場すると発表しています。ベンチャーキャピタルのボウ・キャピタル・マネジメントが手掛けるSPACと合併する契約を締結。上場時時価総額は90億ドル(=約9900億円)を見込み、上場時にウィーワークは13億ドルを調達する計画です。


ウィーワークは、2019年に経営難で上場を断念し、創業者のニューマン氏がCEOを引責辞任した経緯があります。その時に同社の筆頭株主であったソフトバンクグループ(=SBG。正確にはSBGがマネジメントする投資総額10兆円のビジョンファンドが出資しておりSBGも大幅な損失を被る。)主導で経営陣を入れ替え、再建を進めていたものです。


今般のウィーワークのSPACを活用した株式上場は、SBG自体の同社への投資評価損で傷んだ財務内容を建て直すことが目的になっていると言えます。SBG自身も買収を目的とするだけの事業を営まない「空箱」である3社のSPACを米国株式市場で上場もしくは上場準備に入っており、いづれそれらSPACが同社を合併するものと見られていました。


ウィーワークは、2020年12月期の最終損益が32億ドルという途轍もなく巨額の損失を計上してるにも拘わらず、新型コロナウイルス禍の収束後にシェアオフィス需要が急回復する楽観的シナリオを示しており、2022年12月期には事業損益を黒字転換させることを見込んでいます。通常の株式公開(=IPO)と異なり、裏口入学と言われる所以です。


世界的カネ余り現象が顕在化する中で、各国の株式市場は過熱気味であることが拭い去れません。その様な中でもウィーワークが独自でIPOを果たすことが出来なかったにも拘わらず、なぜ上場SPACとの合併によりウィーワークが事実上上場できるのか疑問を持たざるを得ません。ウィーワークより寧ろSPACに注目が集まっているのではないでしょうか。


シェアオフィスを運営するウィーワークのビジネスモデルは、多くの顧客がシェアオフィスを利用してはじめて成り立つ、いわば装置産業でありそのキャパシティに限界があることに留意が必要です。単純化してみれば、オフィスビル事業の一利用形態に過ぎないということです。急激に伸びたシェアオフィス需要に莫大な拠点投資を行い急成長したに過ぎません。


必ずしもROIC(=投下資本利益率)が他の急成長するビジネスに比べて高い訳でなく、スーパーマケットやコンビニエンスストアと同様に市場が飽和する制約を受けるビジネスだということが出来ると思います。今般、SPACとの合併により株式を上場しても、将来的な成長余力に限りがあることから、上場後の株価は停滞するとみるのが常識だと思います。


ウィーワークの当初触れ込みは、様々なシェアユーザーが協業することにより新たな事業を創出する仕掛けがあるというものでした。DX(=デジタルトランスフォーメーション)の先駆けとして、情報技術を活用したAIでユーザー同士をマッチングさせる精度を高めるという構想は何処へ行ったのでしょう。株式市場も地に足を付けていく必要がありそうです。


今日もありがとうございます!
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