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DX時代の丸井!

皆さん、おはようございます!
言語としての財務数値を読み解くことに留まらず、時代の流れを人間の深層心理を踏まえながら事業を立体的に理解していくことが何よりも楽しいひと時です。その事業を営む方の哲学、価値観、そして社会に対してどの様に貢献していこうとしていのかが滲み出てきます。



丸井グループが店舗を商品を売らない店に転換しようとしています。D2C(=ダイレクト・トゥー・コンシューマー)のネット通販企業を次々と誘致し、店頭は丁寧な接客で消費者データを得る場とし、各社のネット通販で売上を伸ばすビジネスモデルへと転換しています。その決済にハウスカードを利用して貰うことで、手数料と購買データを得る戦略です。


丸井に出店するテナントは、いままでの店頭販売を止めて謂わばショールームに徹しているということができます。各店舗は丸井の従業員が運営を受託し、店員がお客様から陳列しているサンプル商品の使用具合や不満を聞き出しデータ化することにより、テナントであるメーカーの商品開発に生かす仕組みとなっています。店頭は消費データを得る場となります。


丸井としては、2019年3月期に通常の物販テナントが70%を占めていましたが、飲食店やサービス店を増やし現在は59%迄下がっており、さらにこれを2024年3月期までに40%にまで引き下げる計画です。残る物販テナントについても、消費者の行動データを得る場へと舵を切る予定です。ネットで得られない細かな声を店舗で得る狙いがあります。


データを得るためには、母数となる来店客数がカギとなります。そこで丸井ではテナント選びの基準をこれまでの売上高で評価する仕組みを見直し、リピート客や新規の顧客をどれだけつかんだかをテナントを評価する指標に変えています。D2C企業もネット販売が主戦場であり、店頭での売上に拘らず生の消費者との接点を必要としていることから相性が良い。


この今までの専門店商業ビルの常識から考えもつかない新たな未来型ビジネスモデルへの転換に丸井が着手していることには些かの驚きを持って受け止めています。確かに、ネット販売だけでは消費者の購買データ取得に限りがあり、それを凌駕する対策として店舗をモノを売らずにお客様との接点の場であるショールーム化してしまうことは画期的だと思います。


時代の流れからすれば益々ネット通販の勢いが増し、リアル店舗の売上を奪っていくことは確実だと思います。それに備えたビジネスモデル転換であるとはいえ、よくぞそこまで大胆な意思決定ができたものと思います。株式上場する丸井ですから目先の売上も上げていかなければならないジレンマもあると思います。どの様な収益構造を想定しているのでしょう。


従来テナント売上に連動して家賃を得る歩合賃料であったと思いますが、その図式で売上を得ることは出来ません。どこで稼ぐのか鍵を握るのがグループのクレジットカード「エポスカード」です。会員数は2015年の591万人から2020年の720万人に増えており同じ期間にカードを含むフィンテック事業の営業利益が約400億円に倍増しています。


D2Cネット通販の売上が増えれば、カード決済手数料という形で丸井も潤うという図式です。各店舗の消費者データとカードの消費者情報を紐づけられれば、更に購買データの精度が上がると言えるでしょう。また、丸井はショールーム出店するD2C企業に出資している点も見逃してはなりません。リアルとデジタルによるプラットフォーム化が窺い知れます。


今日もありがとうございます!
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