誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

株主価値経営の問題点!

皆さん、おはようございます!
最近、よく大田区の町工場へ足を運びます。町を歩いていますと、ものづくり日本を支えてきた地域であることが良く理解できます。そんな地域の町工場も迫りくる経営者の高齢化による廃業問題に直面していますが、灯りを絶やすことなく照らし続けなければなりません。



ここ数年、日本企業関連のM&Aが年間20兆円程度の高水準で推移しています。日本におけるM&Aの広がりは始まったばかりの段階で、この趨勢は2021年以降も続くと見られています。それは、株主価値を重視する経営が確実に広がりつつあると考えられているからです。昨今、経営者がもの言う株主の声に耳を傾けることが自然になりつつあるようです。


経営者報酬を自社の株式時価総額に連動させる動きも出始めており、日本でも株主価値を高める経営戦略としてのM&Aが一般的になりつつあり、この流れが逆戻りすることはないと考えられているようですが、果たしてそうでしょうか。確かに今の日本は、欧米の株主価値経営を受け入れなければ、グローバル市場から退場を余儀なくされる局面にあるでしょう。


欧米流の株主価値経営を行わなければ、グローバル市場という土俵にすら立てなくなってしまうかもしれません。しかし、本当の意味での株主価値というものは、企業が自助努力により事業を創出し、成長させることにより実現するものであり、その為のM&Aであるなら前向きに受け止めるべきですが、現実は負け戦を避けるための保身のM&Aにすら見えます。


株主がそんな企業の不甲斐なさに苛立ちを隠せないことは理解できますが、短視眼的にその声を聞き過ぎてしまうのもどうかと思います。企業は未来永劫、存続し続けなければならない社会の公器であることは理解できます。それは、企業が社会の課題を事業を通して解決していくことが本来のあるべき姿であり、それが出来ていないところにジレンマがあります。


渋沢栄一の「論語と算盤」ではありませんが、その辺の実業と結果としての数字のバランスを取ることが理想だと思います。そこから目を離して数字ばかりを追っているところに、現在の企業社会の矛盾が潜んでいるのでしょう。実業(事業)の根源は、そこで働く人々の英知の集大成であることは、時代が変われど昔も今も変わらぬ真理であるはずだと思います。


株主価値経営ばかりを追い求めてしまいますと、企業で働く人々が委縮してしまい伸びやかに新たな事業や商品を考えることが出来なくなってしまいます。オープンプラットフォームで、もっと権限委譲して自由かつ自律的に仕事に取り組む環境を整えることも忘れてはならないと思います。その意味では時代の過渡期であり、我々の手に全てが委ねられています。


振り返れば、私も約10年前までは欧米的な株主価値経営を模倣して、とある上場企業で株価を上げるべく率先してM&Aに取り組んでいました。いま思えば、視野が狭過ぎたと考えています。企業の存在は、株主を含む多くの利害関係者との円滑な関係があってこそ存続できるものであり、最大のベネフィットは社会に対して価値を提供し続ける存在だからです。


それなくして企業の存続は考えられません。いまの企業は社会に価値を提供し続けることが大きく揺らいでいるものと思います。だからといって、株主の声に耳を貸し過ぎるのもどうかと思いますが、それは企業自身が将来に対して自信を持てないことの裏返しだからではないでしょうか。企業はいま一度、お客様、社会が何を求めているのか考えるべきでしょう。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する