誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

経営陣による買収(MBO)!

皆さん、おはようございます!
先日、日経平均株価が30年半振りに3万円を超えたという報道が為されています。どことなく楽観した内容でしたが、30年半前といえばバブル経済もピークを迎えた時期でもあります。その時よりも現在の方が金融バブルの様相を呈していることに留意すべきでしょう。



株式を公開する企業の経営陣が自らの会社の株式を取得して株式公開を廃止するという手法を利用したM&A(=MBO、マネジメント バイ アウト)が増えているそうです。2020年は54件と、2011年の56件以来、9年ぶりの高水準となっており、2019年比較でも15件増加、金額の合計は3116億円と前年比3%増加する規模になっています。


新型コロナウイルス禍で経営環境が激変し、思い切った経営判断を迫られている企業が増えていることが背景にあります。株式の非公開化などを通じて株主を経営陣などの特定の少数に絞り、経営の自由度を高めることが狙いとしてあります。コロナ禍の影響が長引くことが予想される中で、MBO件数の水準は2021年も高水準となることが見込まれています。


2022年に実施予定の東京証券取引所の市場再編により、株式を公開する企業は一定の流通時価総額を求められる様になります。これに対して、株式を公開し続けることが難しいと判断し、MBOに踏み切る企業が増えてくる可能性もあると受け止められています。一般的に株式を公開することにより、公開企業の信用度が格段に高まるものと考えられています。


しかし一方で、株式公開を維持し続けていく為には、会計監査、業務監査、企業統治体制の整備、適時開示など、年々企業を取り巻く規制が厳しくなっており、経営の自由度に支障を来すばかりか、業務上も過分な労力を費やすことになり、そのコストも年々増加するばかりです。ある程度企業規模がなければ、株式公開を維持していくことが難しいのも現実です。


MBOによる買収金額約1100億円と最も大きかったのは介護業界大手のニチイ学館だったそうです。同社の経営陣が米投資ファンド、ベインキャピタルの子会社と組んでMBOを実施しています。同社の連結売上高は約3000億円、同純資産額は440億円と、株式を公開している企業の中では売上高に比して株式時価総額が低い企業であったと思われます。


時価総額が低ければ、当然に流通時価総額も低いことが想定されます。元々、介護事業というものは、営利目的ではなく公益的な事業であると受け止めることが出来ると思います。その様な公益事業を営むニチイ学館が、株式市場という経済合理性を追求し、毎年利益を増やし続けなければならいマーケットに身を置くこと自体、土台無理を強いられてしまいます。


確かに日本全国に介護という施設を展開し続けていれば、会社全体として売上高は伸び続けるのでしょう。既存の介護施設を見れば施設としてのキャパシティがありますので、利益を伸ばし続けることは物理的に不可能だと考えるのが自然だと思います。それでも株式公開により消費者の信用度が増せば、施設を利用する顧客が増える正循環を期待したのでしょう。


しかし、コロナ禍という不慮の天災により介護施設自体に人が集まらなくなり、期待した正の循環が負の循環として逆回りしはじめれば、利益が出ないどころか瞬く間に赤字転落となってしまうことでしょう。その様な状況下で早急に事業の立て直しを図ろうとも、やはり株式を公開する企業としての制約がありますので、今回のMBOの実施に至ったのでしょう。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する