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日本の工芸を元気にする!

皆さん、おはようございます!
時間が余ったので久しぶりに渋谷の商業施設を散策してみました。この数年で渋谷の街並みも様変わりし、近代的な煌びやかな高層ビルが立ち並ぶようになっています。どのビルにも低層階に商業施設が入居していますが、洗練され過ぎていて界隈性がないのが残念です。



表参道ヒルズに店舗を構えてから、あっという間に60店もの店舗を展開するようになった中川政七商店。渋谷でも東急スクエアーガーデンに出店しています。その店舗も当初の麻織物をベースとした雑貨店から、いまでは日本の工芸品を取り扱う総合生活雑貨店へと装いを大きく変えています。2020年2月の売上高も68億円にまで増収増益を続けています。


その中川政七商店の歴史を遡れば、創業300年前の享保元年に奈良県で奈良晒(=ならさらし)の商いを始めたのがはじまりです。明治維新により武士が消滅したことで最大の需要源を失い、奈良晒が衰退する憂き目にも遭いましたが、品質を守り続け風呂あがりの汗取りや産着などを開発し新しい市場を切り開いています。皇室御用達の栄誉まで受けています。


300年もの歴史の中で、様々な逆境に耐えながらも現在に繋いで来れたのは、その時代時代の新たな需要の流れを読みながら新商品を開発し続けてきたこともありますが、手作業で商品を作り続けてきた技術やノウハウを守り続けてきたことにあると思います。2010年には、奈良県東九条町に暮らすように働くをコンセプトにした新社屋を完成させています。


中川政七商店の第13代目にあたる現会長の中川政七(=中川淳)さんは、この麻織物のビジネスモデルを工芸品の製造小売り(=SPA)に作り変え全国展開を果たした立役者でもあります。全国の産地に眠る工芸品の力を呼び覚ます経営コンサルタントをも生業としています。工芸の衰退を食い止めるために、全国の生産者の間を訪問する日々を送っています。


きっと現在の総合生活雑貨店である中川政七商店の商品は、そうやって全国の工芸品を手掛ける生産者に対する経営支援を行う中で産まれてきた新たな商品を取り扱っているのではないかと推測します。中川さん曰く、そうした工芸品を扱う生産者は、大概経営が下手なのではなく、経営そのものが存在していないことがじり貧に追いやっていると認識しています。


このことは工芸品生産者に限ったことではなく、日本の多くの中小企業にも同じことが言えると思います。素晴らしい技術力を持つ下町の町工場において、時代の流れにあった新たな商品開発とマネジメントとしての経営を兼ね備えていれば、大手企業の下請け仕事に甘んじることなく、中川政七商店と同じ様に独自性をもったビジネス展開が可能になるでしょう。


日本の伝統品を絶やさないためにも、それらを創出する技術力を五感で体得している生産者を支える中川政七さんのような経営支援者が、もっと様々な中小企業に駆け付ける必要があると思います。それら生産者同士が連携することにより、もっと予想もしないような新たな商品を生み出すことも可能になるでしょう。そのような商品を消費者も待ち望んでいます。


これからの時代、中川政七商店の新社屋コンセプトにもある様に、生産者と生活者の距離が縮まってくると思います。工芸品の様なモノづくりが暮らしの豊かさを彩るということもありますが、それを突き詰めると生産者自身が生活者としての感覚をモノづくりに込める必要があります。究極は生活者がモノづくりに勤しむクラフトが工芸ということなのでしょう。


今日もありがとうございます!
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