Fly ANA!
皆さん、おはようございます!
仕事で様々な方とご一緒させて頂いていますと、本当に様々な個性があるものだと感心させられます。多くの方々が勢いに任せて前向きに仕事を進めて行くのは良いのですが、自分が為していることの抑えが出来ていないので、ちょっとした事でも躓くことが多いようです。
先日、全日本空輸(=ANA)が今期5100億円の損失計上予想と、それに伴う事業構造改革案を発表しています。コロナ禍の影響により多くの客足を奪われてしまった、固定経費が重くのしかかるビジネスの代表格だと言わざるを得ません。日本のフラッグキャリアの座を射止めているANAとして、ここまで顧客が減少することは予想もしなかったでしょう。
2010年に会社更生法を適用し事業縮小を余儀なくされた日本航空(=JAL)を尻目に事業拡大路線を取って来た経営方針が仇となってしまった形です。そもそもエアラインビジネスは、売上が流動的なフロー収益であるのに対して、経費は航空機の減価償却費、機体整備費、人件費といった固定経費だけで構成されており、売上の減少に弱い構造を持ちます。
今般の事業構造改革では、役職員の人件費一律30%カット、400名以上の社員を家電量販店のノジマや高級食品スーパー成城石井などの外部企業への出向、300機以上となている保有機数の約1割に相当する航空機リタイアによる減価償却費削減、運航コストの安いLCCへの路線の移管等、どれも固定費を削減する施策であることが見て取れると思います。
固定経費ビジネスは、売上の多寡に拘わらず一定の固定費がかかってしまいますので、業績を改善するためには、売上を増やすか、固定経費を削減するしか方法がありません。少々マニアックな話しですが、航空機を有償で飛ばす際に提供する総座席数について65%前後を搭乗客で埋めなければ採算が合わないのが、エアラインビジネスの実態といえるでしょう。
航空機1機体あたりの売上を増やすためには、極端な話し航空機を地上で遊ばせることなくお客様を乗せて飛ばし続けていれば良いわけです。ただ、その場合でも航空機が到着して次の出発まで大型機で最低でも1時間の機体整備時間を要します。国内線で使用する国内の空港の多くは、発着利用時間に制限がありますので無尽蔵に飛ばし続ける訳にもいきません。
また、航空機にも自家用車と同じ様に法定で定められた整備が必要であり、その中でも重整備といわれる機体整備には1ヶ月前後の時間を要するため、その間は大手航空会社はLCCの様に便を欠航させる訳にもいかないので、代替機を用意しなければならないという足枷もあります。航空会社は外見の華やかさとは異なり、難しいビジネスだと言えるでしょう。
これらの固定費負担を軽減したライトな航空会社として誕生したのがローコストキャリア(=LCC)と呼ばれる新興のエアラインです。ANAでもピーチ航空や余り知られていませんがエアージャパンというLCCを傘下に持ちます。比較的小型の旅客機を使用して高回転に機材を廻し、とにかく運行に必要なコストを切り詰めたビジネスモデルだと言えます。
ANAからみれば、同じ旅客を多大なコストで飛ばす非効率性を考えれば、このLCCに運航を任せた方がコストを軽減することが出来ることになります。ただ、LCCにしましてもライトな経費構造を持つエアラインとはいえ、お客様が搭乗しない限りは採算ラインに乗せることは出来ません。いまエアラインが為すべきことは、お客様の掘り起こしでしょう。
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