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大手メーカーという生き物_M&A編!

皆さん、おはようございます!
企業が利益を出し続けることは、簡単なようですが売上とコストのバランスを微妙に取って行かなければならず、その匙加減がなかなか難しい様です。特に中小企業は売上に波がある場合が多く、ボトムラインを充分に見極めてコストを費やしていく必要があります。



前回に続き、大手化学メーカーに勤務していた時この事を記したいと思います。2000年代初頭に中途入社した年が、丁度、その翌年から始まる中期3ヶ年計画を策定する年度にあたり、最初の仕事はその計画を作成するところから始まりました。当時280円の株価を900円に上げることを全社目標とし、その方法を私が担当することになりました。


資本コスト概念とポートフォリオ概念を導入し、200余りある事業のうち資本コストを下回る成長が見込めない事業はM&Aにより売却し、資本コストを上回り成長が見込める事業はM&Aにより更なる強化をする計画を明確にしています。まずは、この資本コスト概念を経営陣に理解して貰うことが難しく、苦労した点だったと思います。


いま思えば、確かにバブル崩壊後の痛んだ財務内容を健全にしていくことは良いのですが、株価を上げることを中期計画の目標に掲げるというのは、いささかナンセンスだったと思います。企業の使命は、社会の課題を事業を通じて解決していく社会の公器であり、本来であれば事業戦略を明確に打ち出して行くべきだからです。


ともかく、株価を900円にすることがミッションになった私の仕事は、そこからM&Aの実行に明けくれることになります。本部であるコーポレートが管轄する事業については、主体的にM&Aを実践していき、3つのカンパニーが主管する事業については謂わば社内アドバイザーとして各事業部をサポートしていく体制が牽かれることになりました。


買収案件は、上場会社であることもあって、M&A戦略を強化すると打ち出すと黙っていても案件情報が入って来るためその点は楽でしたが、M&Aなど手掛けたことのない事業部への目を離すととんでもない金額の買収価格を提示してしまうため、そこを牽制する事が難しくもありました。事業部長の功績欲しさがそうさせてしまうのでしょう。


逆に売却案件については、子会社社長や事業部長、更には組合から睨まれてしまい、とても苦労したことを思い出します。それでもM&Aを実行した後日談として、大手化学メーカーの中で閉塞感漂う事業を続けるよりも、M&Aにより外に出た方が伸び伸びと事業運営ができ良かったという労いの言葉を貰うこともあり安堵したことを思い出します。


M&Aといいますと、当事者である事業部以外にも法務、経理、財務、人事といったコーポレートスタッフが関わるのが通常ですが、大会社の縦割りとなった各セクションをM&Aの交渉の場に一同に会していては進む話しも進まなくなってしまいます。交渉の場は事業部長と私だけで行い、事前に必要な確認を各セクションと行う形をとっています。


それが社内では、常識外れとして受け止められていたようで、随分と各セクションの担当者を同席させるように上司から言われたものですが、契約書なども自ら作成していました。当時のCFOだけは私の幅広いノウハウを認めてくれていた様で「当社には君の様に何でもできる社員はいない」と言わしめた時は流石に嬉しかったことを思い出します。


次回に続く。。


今日もありがとうございます!
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