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地銀再編を問う!

皆さん、おはようございます!
経営統合にも2つの意味があります。市場が拡大している時は、競合他社との比較優位性を高めていくことが出来ますが、成熟した市場においてはコスト削減により企業の存続を維持するといった後ろ向きの響きがあります。



地銀を取り巻く環境は、日増しに厳しくなっているようです。政策金利の誘導によりゼロ金利となってからは、どこの地方銀行も本業である融資業務により収益を上げることができず採算が悪化の一途をたどるばかりです。地域経済へ資金を還流させなければならないインフラであるはずの地方銀行の行く先には暗雲が立ち込めています。


しかも、多くの地方銀行は株式を公開しているため、短期的な視点で事業採算を改善する必要に迫られているばかりか、その貴重な利益を将来の事業のために必要な投資に回すことなく、株主への配当として優先的に還元している有り様を見ていますと、お先が寒くなるものだと思います。


地方銀行の決算状況を見ますと、実に3分の2もの銀行が最終利益で減益となっており、その減益幅も拡大の一途を辿っています。このままでは、地方銀行の存続も危ぶまれても仕方がない状況です。その様な中で、起死回生の打開策として囁かれているのが、地銀同士の経営統合による業界再編です。


地方銀行の経営統合において足枷となりますのが、公正取引委員会による独占禁止法に抵触してしまい、思う様に進めることが出来ないという問題です。この点に関しては、政府も地方銀行の公共性という観点から、独占禁止法を弾力的に運用するよう特例措置による救済を予定しているようです。


にわかに、地方銀行の業界再編、地域を超えた地方銀行の大統合が現実味を帯びて来ているということができます。しかし、単に地方銀行同士を経営統合することにより短期的な採算性を改善できたとしても、地方銀行にとって抜本的な経営改善が出来るとは思えません。地方銀行という今までの事業のビジネスモデルに限界があるからです。


地方銀行のビジネスモデルは、預金など短期に調達した資金を地域の法人に対して長期で融資することにより、その短期と長期の金利差により収益を上げる構造となっています。ところが、自らの営業基盤内の融資が行える優良な企業の資金需要が減退しており、かつ短期と長期の金利差が非常に薄くなっています。


この点が地方銀行の大幅な減益の理由となっていますが、これは当面の一時的な経営課題ではなく、地方経済の構造的な問題であることを理解する必要があります。地方経済圏の多くの企業は、日本経済の構造的な転換期の中で、大手企業が既存事業の抜本的な構造改革を行っていく煽りを受けていると言えます。


また、地方における人口減少問題が、地域経済の活力を削ぐ形となり、それがボディブローのように地域内企業の経営に影響を及ぼしていると言えるでしょう。その様な中で、地方銀行はどの様な経営方針をとって行くべきなのでしょうか。地域経済の活力の低下にあわせて、支店の統廃合など事業規模を縮小すれば良いという問題でもありません。


地方銀行は、従来のビジネスモデルに拘り続けずに、新たな仕事を創出すべく事業開発という分野に事業をシフトしていくべきだと思います。既に子会社を通じた出資規制が緩和されており、後継者のいない事業承継先についても5%を超えた直接出資が可能となる様に出資規制の弾力化が明らかとなっています。


いまの地方経済を見ていますと、既存の事業を改編して新たな事業に創り変える発想や新たに事業を始めようとする人が少ないと言わざるを得ません。一方で、地域経済には、その地域固有の資源が多くあります。その資源を活用した新たな事業を構想して行こうとする活力を取り戻す必要があります。


曲がりなりにも金融機関として多くのビジネスを相手に商売を営んできた地方銀行ですから、そのノウハウを活かして新たな事業を創造すべく事業開発の支援を行っていくべきでしょう。街づくり、地域づくりの観点から、様々な新たな事業を構想して実際に立ち上げていけば良いと思います。


その為に必要な人財を都市圏から連れてくれば良いと思います。地域経済というものは、事業を創り、多くの仕事を生み出して行くことにより活力を取り戻すものです。その意味で「地域×仕事×暮らし」だと思います。地方銀行にとっても、新たな事業開発をビジネスの柱とすることで、それがまた新たな資金需要につながると思います。


今日もありがとうございます!
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