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三菱、小型旅客機事業買収交渉!

皆さん、おはようございます!
これから市場が拡大する産業に航空機産業やエアラインビジネスがあります。グローバル化社会が興隆し、国境を超えた人の移動がこれからも益々続くと考えられるからです。
いずれも巨額の投資を必要とする装置産業ですので新規参入が容易ではありません。



三菱重工業がカナダ・ボンバルディアの小型ジェット旅客機「CRJ」事業を買収する交渉に挑んでいるそうです。自動車産業などとは異なり、航空機産業は世界のプレイヤーが米ボーイング社と欧州エアバス社に二分された寡占状態にあるため、航空機事業自体のM&Aは非常に珍しいと言えるでしょう。


小型ジェット旅客機(=リージョナルジェット)事業は、いままで米ボーイング社や欧州エアバス社も取り扱っていなかった座席数100席前後の旅客機であり、カナダ・ボンバルディアとブラジル・エンブラエルが市場を分け合っていました。昨年までの間に、エンブラエルはボーイング社に買収されています。


また、一方のボンバルディアの100席以上のジェット旅客機事業はエアバス社に買収され、100席未満のCRJが残るのみとなっています。今般、三菱重工は、傘下の三菱航空機を通じて、この残るボンバルディアの事業のうち航空機体メンテナンスなどのサービス部門を中心に譲り受けることを想定しています。


CRJの顧客ネットワークなどを手に入れることで、三菱航空機が開発を進める三菱リージョナルジェット(=MRJ)の事業基盤を整えていく考えです。ジェット旅客機メーカーとして最後発のMRJは、課題であった顧客の補修部品の供給や整備などの円滑なサポート体制を獲得することにより旅客機の販売に弾みをつけたい考えです。


リージョナルジェットの市場は、大型ジェット旅客機ほどの需要増加が見込めないため、巨額な開発費用を賄ってまで利益を上げる事業採算性が低いため、米ボーイング社も、欧州エアバス社も手を出していない分野であったと言えるでしょう。航空機産業の中では、比較的ニッチな市場であるとあると言えます。


このニッチ市場に三菱重工業が傘下の三菱航空機を通して開発を着手したのが2008年であり、当初、2013年頃には初号機の就航を目指していましたが、技術開発の遅れから、ようやく2020年中頃にエアラインへの納入がはじまるそうです。ただし、損益分岐点が1000機以上の販売と言われる中で未だ400機程度した受注がない状況です。


既に今までに6千億円以上の開発費用を投じている中で、今回のボンバルディアからのサポート体制の買収は、今後の三菱航空機、いや日本の航空機産業の明暗を分ける岐路に立たされているものと思います。日本の航空機産業における技術力は、米ボーング社の最新鋭機の翼や胴体などのパーツ製造の領域に留まっていますが技術力に定評があります。


戦時中に零戦で名を馳せた日本の航空機産業は、敗戦により産業を解体されパーツ製造の立場に甘んじてきましたが、ここにきて完成機メーカーとして日本の技術の水位を結集して復活させたいという三菱重工業の心意気は高く評価されるべきだと思います。しかし、事業として航空機産業を考える場合、技術力のみならず総合的な力が試されます。


確かにMRJは技術的には非常に低燃費で効率の良い小型ジェット旅客機と言えます。
将来の市場動向を見極めて、いかに効果的な販売をエアラインに対して行っていけるか。また、エアラインで就航後のサポート体制をグローバルに構築していくことも不可欠です。独自に拠点を築き上げていくには、それなりの投資が必要になると思います。


小型ジェット旅客機の最大の消費地である米国では、パイロットのレギュレーションの問題から、現在三菱航空機が開発中の90席級のジェット旅客機の販売が出来ず、急きょ70席級の旅客機の開発を行い、それを主力商品として位置付けていく方針に転換したという話しも聞こえて来ます。


今までの三菱航空機のジェット旅客機の開発動向の流れを見て来ますと、紆余曲折あり、本当に試行錯誤しながら事業化に挑んでいることが伝わって来ます。乗用車などの開発などとは異なる難しさもあるものと思います。しかし、それら課題を解決した暁には、将来、間違いなく小型ジェット旅客機市場が存在します。


米ボーイング社や欧州エアバス社の様な巨大企業では採算の合わないニッチな市場ですが、その分野で確固たるポジションをものにして頂けたらと思います。その意味では、現在は新たな事業の産みの苦しみだと思います。ボンバルディアからのサポート事業買収について、上手く成約出来ることを願うばかりです。


今日もありがとうございます!
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