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ドラッグストアの再編!

皆さん、おようようございます!
規模の経済を追求する経営統合が増えて来ました。業界内の企業が凌ぎを削り、少しでも優位な立場に立つためのM&Aということが出来ます。いままでにも幾度となく業界再編が繰り返されて来ましたが、戦う相手は業界企業だけではなくなりつつあります。



ドラッグストア大手のスギホールディングスとココカラファインは、経営統合に向けて検討を始めると発表しました。ココカラファインは、4月にマツモトキヨシホールディングスとも資本業務提携の検討をはじめると発表しており、両社との協議をそれぞれ並行して続け、どちらが企業成長につながるか慎重に判断し9月には結論を出して行く計画です。


ココカラファインは、売上高4005億円、営業利益124億円、店舗数1354店の関西地区を営業地盤に持つドラッグストアであり、売上規模で業界7位に甘んじています。
元々、ドラッグストアの第一次業界再編の時に、関東のセイジョーと関西のセガミが経営統合して出来た企業です。調剤薬局事業に力を入れていることでも知られています。


一方、スギホールディングスは、売上高4884億円、営業利益258億円、店舗数1190店を持つ、中部地区の郊外型店舗に営業地盤に持つドラッグストアであり、やはり売上規模では業界6位に甘んじています。マツモトキヨシホールディングスは売上高5759億円、営業利益360億円、店舗数1654店と同業界5位となっています。


いずれも調剤薬局事業に力を入れており、互いに営業地盤が重複していないため、経営統合による相互補完効果が認められる取り組みであると言うことが出来ます。いずれのドラッグストアーも業界首位のウエルシアホールディングスの売上高7791億円、店舗数1878店に大きく水をあけられており焦りを露わにしているのだと思います。


小売業のビジネスモデルは、チェーンストアオペレーションによる店舗の標準化と集中購買によりバイイングパワーを効かせることにつきます。ココカラファインとウエルシアホールディングスの売上規模は2倍近い開きがありますので、営業利益ではそれ以上の開きが出てもおかしくありません。


ここで、スギホールディングスまたはマツモトキヨシホールディングスの何れかと経営統合することにより、業界首位の売上高を狙いに行こうという戦略を取りたいものと思います。それは、スギホールディングスやマツモトキヨシホールディングスにとっても同じだと思います。こうやって業界再編が起きるものなのですね。


先日の自動車業界における欧米FCA(=フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の仏ルノーに対する経営統合提案も業界こそ違え考え方はドラッグストアと変わりません。独フォルクスワーゲンや日本のトヨタ自動車と販売台数で大きく水を開けられたFCAが仏ルノーを取り込むことにより起死回生の逆転劇を狙っていると言えます。


しかし、ここまでは従来の資本の論理を前提とした産業構造での話しだと言えるでしょう。業界内のどの企業もブランドこそ違いますが、同じ様な商品を取り扱いお客様に販売しています。売上が右肩上がりに上がり続けることを前提とした考え方ですので、これからの時代にそぐわない感じがします。


今までのドラッグストアは、市販薬や化粧品以外に日用雑貨や食品まで取り揃える総合小売業であり、そこはどのドラッグストアとも大差がありません。違いといえば、調剤薬局事業を併設しているかどうかだと思います。これからの高齢化社会において、様々な業態の小売店がある中でドラッグストアのポテンシャルは高まっていくことでしょう。


しかしながら、いまのお客様がドラッグストアに満足しているかといいますと、決して満足している訳ではなく、他に選択肢がないから利用しているようにも感じます。お客様からしてみますと、大衆を対象とした販売ではなく、もっとお客様とのリレーションを高め、カスタマイズによる顧客満足度を高めていく必要があるのではないでしょうか。


取り扱っている商品が健康に関わるものなので、尚更だと思います。個客の常用薬の服薬状況をカルテの様なもので充分に管理するなど、顧客満足度を高めていくことも情報化社会においては可能だと思います。ただ単に、売上規模や店舗数を増やして行くだけではなく、事業の質を高めていくことがこれからのドラッグストアに求められるでしょう。


その意味では、調剤薬局事業やPB商品に力を入れているマツモトキヨシホールディングスは、業界の中で一歩先を歩んでいるように感じます。ココカラファインが、スギホールディングスとマツモトキヨシホールディングスの何れと経営統合をするのか分かりませんが、これからの時代のドラッグストアのあるべき姿を見つめた再編であって欲しいです。


今日もありがとうございます!
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