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味の素の働き方改革!

皆さん、おはようございます!
日本は世界の中で労働生産性が低いことが指摘されています。日本の自動車産業や家電産業が世界No.1と言われた過去もありましたが、それは勤勉な国民性の犠牲の上に成り立っていたのでしょうか。なぜ、いま労働生産性を高めることが必要なのでしょう。



味の素では、政府が働き方改革を施行するより1年早く長時間労働是正の号令を発していたそうです。当時の社員1人あたりの年間労働時間が1976時間であったものを2018年度末には1820時間まで減らしたそうです。今では社員の4分の3が午後6時前に帰宅するまでになっているそうです。


それもそのはず、定時の終業時刻を午後5時20分から午後4時30分に繰り上げているからです。会社がノー残業を叫んでも、社員に染み付いた長時間労働の習慣はなかなか消えない為、あっと驚く仕掛けとして終業時間の見直しを行ったそうです。味の素は、会社以外の居場所づくりを社員に迫ることによって、残業を減らしたとのです。


味の素を国際競争力を持つ企業に変貌させる為には、長時間労働から脱却して労働生産性を高める必要があるとの判断から、全社的な取り組みとして労働時間の減少を目指しています。いくら会社が号令を発したところで、社員の意識が変わらなければ何も変わらない訳で、導入にあたっては社員の就業実態を綿密に調査したそうです。


例えば、社員は1日平均4時間も会議出席と会議のための資料準備に費やしていたため、会議の回数、時間、参加者を絞り込むようにしています。しかし、営業社員からは、顧客第一に考えると労働時間は減らせない、労働時間を減らすと売上が減少するなどという抵抗が随分とあったようです。


そこで約600人の全営業社員の業務を一つ一つ洗い出し、総労働時間の25%を占めていた移動時間に狙いを定めて、時間短縮を断行しています。20億円ものIT投資で、営業報告書を出先からスマートフォンで作成できる様にしたり、サテライトオフィスを全国に設置し、オフィスに戻る必要を無くす手立てを講じています。


味の素は、単に労働時間を短縮することを目的としているのではなく、メリハリのある仕事を行うことにより、仕事の質を高めることを狙いとしています。確かに労働時間を短縮することにより、営業社員がお客様を訪問する回数や時間が減ったそうですが、その分、的を得た質の高い提案が出来るように仕事の遣り方が変わったとのことです。


日本の企業は、いつの間にか残業が常態化する仕事の遣り方が身体に染み付いてしまっていると言えるでしょう。人間が一日に意識を集中させられる時間には限りがあるというものです。限られた時間の中で、集中して仕事に取り組むことも必要だと言えます。終業時間が長ければ長いほど、無意識のうちに無駄な仕事まで遣ってしまうものでしょう。


味の素では、早々に仕事を終わらせて、その後の時間を有効に活用すべく、大学院に通うう社員、家族と一家団らん夕食をともにする社員など、自分の好きなことに時間を費やしているそうです。会社と自宅の往復だけの無味乾燥な生活を変えることにより、社員の仕事に対するモチベーションも相当に高まることでしょう。


仕事に対するモチベーションが高まれば、当然に労働生産性も高まり好循環をもたらします。いままで生活=仕事であったものが、仕事が生活の一部になり、自らの生活を如何にしていくかを考えることが大切なんだと思います。精神的に豊かな暮らしを送らなければ、よい発想も思い浮かばないものでしょう。


味の素の目指すところは、真のグローバル企業になることであり、これからは国籍に関わらず社員として雇い入れることが必要であると考えています。現在の海外拠点の現地採用スタッフの働き方を見ていても、1ヶ月間の夏休みを取得し、残業もせずに帰宅しているにもかかわらず、きちんと望まれる成果を出しているそうです。


この様に考えてみますと、日本の労働生産性の低さは、やはり海外諸国に比べて仕事の密度が薄いと言わざるを得ないのかもしれません。短時間労働で、いかに高い成果を出して行くかが問われているものと思います。その為には、費用対効果が低い業務については、自らの判断で切り捨てることも必要でしょう。


この労働生産性の考え方は、あたかも企業の生産効率を上げる為のものとして認識されがちですが、本質は私たちの暮らしの効率を高めてメリハリを付けていくことが根底にあると思います。これからの時代は、知識創造社会ですので、労力を費やすばかりでなく、頭で創造的なことを考えることが何よりも大切なことだと思います。


今日もありがとうございます!
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