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FCA、ルノーへの統合提案!

皆さん、おはようございます!
株式会社というものは何処まで成長し続けなければいけないのでしょうか。
資本の論理を前提とする限り、留まることなく売上や利益の拡大を目指さざるを得ませんが、社会の課題を事業を通して解決する存在であることも忘れてはなりません。



欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(=FCA)が仏ルノーに経営統合を提案しています。スケールメリットを目指し、日産自動車との経営統合に揺れる仏ルノーにとって、突然にわいて来た渡りに船の話しではないでしょうか。今回の経営統合話が実現すれば、世界での自動車販売台数が世界第2位になることが予想されます。


世界の自動車産業は3度目の大再編時代に突入していると言えるでしょう。電気自動車や自動運転などの技術革新により、100年に1度の大変革期の最中にあることは間違いありません。自動運転技術で先行し、企業規模で勝るIT(=情報技術)大手などとの合従連衡を見据え、交渉力を高める狙いが背景にあると言われています。


一方で、これから自動車産業が目指して行くCASE(=つながるクルマ、自動運転、カーシェアリング、電気自動車)は、クルマを組み立てる装置産業としてのモノづくりとは異なり、如何に利用するクルマの付加サービスを提供できるかというコトづくりが重要となって行くことは間違いありません。


その様な中で、必ずしも規模の経済を極限まで追求することが果たして最良の選択であるのか疑問点も内在しているように見えます。今回のFCAとルノーが統合すれば、互いに持たない市場を補完し合うことができ、また購買の共通化などによるコスト削減効果が見込まれ、統合後の企業グループの経営体質を強化できるという見方が大方です。


しかし、それは従来からのモノづくりとしての自動車メーカーに対する見方であり、サービス産業化が避けて通れないこれからの自動車産業において将来的な足枷にならないかが危惧されます。これからのクルマはIoT(=全てのものがインターネットつながる)やAI(=人工知能)と融合しプラットフォームと化していくものと考えられるからです。


FCAやルノー陣営(=日産自動車、三菱自動車を含む)は、両社とも他社に比べてIoTやAI技術で遅れととっていることが否めません。確かに本業である自動車製造の効率化も進めて行かなければなりませんが、一方で、もっと積極果敢に自動運転技術などを保有する大手IT企業との連携をも進めて行かなければならないでしょう。


CASE実現後のクルマ社会は、無人自動車が街中を流し走行しており、いともタクシーを利用するように、自らが持つスマートフォーンから無人自動車を呼び寄せてタイムシェアするようになるでしょう。自動車メーカーは、クルマを製造販売する事業から、タイムシェア無人自動車をオペレーティングする事業へと転換していくことになります。


モノづくりから運営事業へのパラダイムシフトが起り得るとしたら、クルマを製造して販売する収益よりも、もっと巨大な課金ビジネスがそこには眠っていることになります。
例えばMaaS(=モビリティ・アズ・ア・サービス)により、生活者の移動手段をシームレスにつなげるべく、他の交通手段と連携、課金決済といった機能が必要になります。


その様な社会の枠組みを実現していく為には、クルマを製造するに留まらず業界の垣根を超えた異業種と連携することにより、社会基盤としてのインフラを整えていく必要があります。例えば、自動運転を実現するために、道路にセンサーを設置することも必要でしょう。それらを実現していくためのインシアティブを握るのが自動車産業だと思います。


これからの自動車メーカーは、本業であるクルマの製造について業界再編という規模の経済を追求するとともに、そこで得た利益を活用してCASEやMaaSといったこれからの時代に応える業態への転換を急ぐ必要があるでしょう。いつまでも従来のクルマが売れ続けるという保証はどこにもありません。


これからの競争相手は同業他社だけではなく、IT企業を筆頭とする異業種他社となります。まだまだ紆余曲折があるでしょうが、自動車産業も情報技術武装を図って行かないと、大手IT企業にインシアティブを握られるということも起りかねません。そこを見据えたFCAによるルノーへの経営統合提案でしたら前向きに検討すべきだと思います。


その時に日産自動車および三菱自動車が頑なに独自路線を貫き通そうというスタンスを取るべきではないと思います。両社ともに少なくともCASEやMaaSの研究開発の先端を行っているとは見えて来ません。もっと、これからの自動車産業のあるべき姿を明確に示して行くべきではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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