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小林一三の阪急電鉄!

皆さん、おはようございます!
人口減少、デフレなどのマクロ要因が、今後の日本の経済の懸念材料として受け止められています。必ずしもGDPを成長させることが生活の豊かさを表す訳ではありません。その時々の生活者にとって共感できるサービスを提供できれば良いのでしょう。



今の日本はGDP成長率が僅かであり、将来的にも成長が期待できないという声をよく耳にします。確かに、一国の経済が潤っていた方が、何かと経済的な豊かさを享受できるような気にさせられますが、本当にそうでしょうか。寧ろ、社会の枠組みが大きく変わりつつある中で、それに対する備えが出来ていないことの方が問題です。


民間セクターは個人も法人も貯蓄率が高まる一方であり、将来に対する不透明な不安感を如実に表しているものと思います。企業などは、預金残高を増やしてばかりいずに、もっと社会の課題を事業を通して解決すべく、新規事業の創出をすべくリスクを取って投資を行うべきです。短期的に業績が低迷することを恐れているからなかなか進んでいません。


目に見えないステークホルダーを恐れるがあまり、いまの企業は組織の上から下まで何かに付け大義名分を用意してからでないと行動しはじめません。それだけいまの社会が複雑な管理社会となってしまっているからだと思います。失敗を恐れつつがなく行動するがあまり、将来的な活動に対して夢を語り共感することが無くなっています。


小林一三(いちぞう)といえば阪急電鉄の創業者として有名ですが、現在の私鉄をはじめとするビジネスのモデルを考案した人物として今でも語り継がれています。阪急電鉄のコア事業は鉄道業ですが、鉄道業自体は日本の発明ではなく、明治期に日本が英国から導入したものです。


小林一三の独創性は、その鉄道業の導入に留まらず、沿線に分譲地をつくり、宝塚歌劇団をつくり、阪急百貨店を梅田に創っています。爆発的に増える都心部の人口を郊外に誘導し、郊外の付加価値を長期的に高めることにより、それがまた鉄道事業の利用者を増やすという好循環をもたらしています。


これが「私鉄モデル」と呼ばれる世界に例のない価値創造です。一企業の価値を高めるのみならず、沿線住民の生活の価値を同時に高めているという点においては、社会的価値と経済的価値の両方を高めており、今の社会で望まれていることを既に明治時代に遣って退けていることになります。


この小林モデルは、今ではほぼ全ての私鉄がその考え方を採り入れていると言えます。事業規模や社風により濃淡の違いはありますが、沿線住宅開発を行い、百貨店を持ち、場合によっては集客の目玉として、またその地域の付加価値を高める装置としてテーマパークなどの運営も行っています。


時代は変わり、沿線住民は高齢化の一途を辿り、人口減少が囁かれるようになっています。阪急電鉄の小林モデル創出当時とは社会環境も大きく変わりはじめています。その様な中で小林モデルを応用して上手く社会の課題と事業を両立させている鉄道会社として東急電鉄の存在を無視できません。


社会の働き方が大きく変容する中で、どの会社もテレワーク(=情報通信機器を利用して、自宅や会社以外の場所で会社から任された仕事を行う勤務形態。育児や介護など、個々人の事情に応じながら、仕事と生活の調和を実現する働き方。)を導入しはじめていることを見越し、沿線にシェアオフィスの事業を進めています。


また、沿線の再開発を進め、高齢者の居宅を駅の近くに移住させて、若い世帯には郊外の緑の多い子供を遊ばせるのに最適な環境を整え居住する方針を採っています。それだけに留まらず、沿線の移動手段の利便性を高める為にMaaS(=自動車などの移動手段を、必要なときだけ料金を払ってサービスとして利用すること。)の導入を進めています。


いまや創業者のいない従業員数23千人(=連結ベース)もの大手企業である東急電鉄が、どうしてこの様な本来行政がやるべき様な公共的色彩の強い事業を矢継ぎ早に打ち出せるのか不思議ですが、いまの社会の潮流を捉えて課題となる事象を事業を通して解決して行く姿に多くの人が共感するのではないでしょうか。


社会の枠組みが変われば、変わったなりに手掛けるべき事業というものが浮き彫りになって来るものだと思います。必要なのは、内向きな仕事にばかりに終始していないで、行動を起こすことでしょう。その結果として、今までの社会とは異なる、新たな社会の枠組みが出来るのだと思います。


今日もありがとうございます!
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