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社会関係資本によるアライアンス!

皆さん、おはようございます!
いまの社会は、何でも貨幣という数値で物事を測ろうとする帰来があると思います。
貨幣資本主義だからやむを得ない面もありますが、私たちが生活をする社会における資本とはそれだけではない様に思えます。「お互いさま」という資本です。



社会関係資本(=ソーシャル・キャピタル)とは、社会・地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念です。数字で表すことのできない社会関係資本が蓄積された社会では、相互の信頼や協力が得られるため、他人への警戒が少なく、治安・経済・教育・健康・幸福感などに良い影響があり、社会の効率性が高まるとされています。


いまの企業社会を見ていますと、この人々の信頼関係や結びつきが弱まっている様に思えます。特に私たち働き手の集団である企業組織に目を向けますと、企業の内側にばかり目が向かい、企業の外側に対して排他的ですらあるように見えます。企業間の競争がその様にさせてしまっているからでしょう。


それは、やはり行き過ぎた貨幣資本の論理が企業をその様な方向へ向かわせているものと思います。資本市場における投資効率という尺度が、企業を数字による業績の良し悪しに向かわせ、コスト削減型の生産性という名の効率性追求に終始しているからです。そこで働く個々人は、分業化された組織の中で、更なる効率追求を余儀なくされています。


M&Aの世界を見ていても、業界再編型のM&Aが蔓延っているのは、グローバル企業として屈指の売上規模を持つことにより、世界規模で規模の経済を追求することにあります。その様な世界では、売上とともに株式時価総額(≒企業の経済価値)が問われることになり、ますます数字という判断軸の呪縛に嵌まってしまいます。


ところが、最近、自動車業界におけるCASE(=つながるクルマ、自動運転、カーチェアリング、電気自動車)という次世代の自動車メーカーのあるべき姿に向け、業界の垣根を越えたアライアンス(=協働、企業提携)がにわかに採り入れられはじめています。製薬業界においても、新薬の研究開発・販売面でアライアンスが主流となりつつあります。


一方、この4月1日より働き方改革法制が施行されました。これは単に残業時間を減らしワークライフバランスを整えて行こうという問題ではなく、従来の働き方そのものを見直し、人間が本来持つ創造性を活かしながら生産性や効率性を高めて行こうとする質的な転換にあると思います。


社会関係という資本が、人々の信頼関係や結びつきであるということは、人間の創造力というものが人々がお互いの信頼関係の下で行われるコミュニケーションの中から生まれてくることと深い関係があると思います。人間には日々の経験の中で蓄積した暗黙の知識(=五感で捉えた言葉に出来ない知識)というものがあります。


その暗黙の知識の中に、様々な新しい創造的な知識が隠されている訳ですが、それを内面から表出させるためには、他の人々と交わることにより形式として知識(=人々の間でコンセンサスを得た知識)化していくプロセスを経る必要があることが、広く知られています。暗黙知の形式知化です。


その様に考えますと、結局、社会関係資本とは、人々が結びつくことにより新たな知識を創出させることにもつながるものだと思います。いまの社会を見ていますと貨幣資本ばかりにとらわる社会となってしまし、この社会関係資本が非常に弱くなってしまっているということが出来ます。


この社会関係資本は、今になって突然に話題となっている訳ではなく、昔から戦後間もない時期まで社会の中で上手く機能していた資本であると言えます。それが、行き過ぎた工業化社会、資本の論理に向かう中で、私たちの中から忘れ去られていたものと思います。社会には、この社会関係資本がないと機能しなくなります。


M&Aの世界でアライアンスに目が向き始めていますが、業界の垣根を越えて企業同士が結びつくという意味において、そこには互いの企業同士、それを司る働き手同士の信頼関係が存在している交わりですので社会関係資本であると言うことが出来ると思います。互いの企業が敵対するよりも、信頼し合う方がよほど生産性が高いと言えるでしょう。


また、働き手と企業との関係も、働き手を歯車の様に見立てることなく、もっと自律的に創造的な仕事をする存在として認めることにより、フラットな組織へと移り変わりつつあります。これも企業と働き手、働き手同士の信頼関係と結びつくことにより為し得ます。
社会が「お互いさま」の心を取り戻しつつあるのではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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