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アライアンスの時代!

皆さん、おはようございます!
これからはM&Aではなく、アライアンスの時代だと思います。アライアンスとは企業間で行われる業務提携を意味します。M&Aは、企業間の買収や合併により一つの企業に統合することを意味しますが、新たな事業創出にはアライアンスが適していると思います。



いまニュースなどを見ておりますと、毎日のようにM&Aの発表が為されています。一番多いのは、同業者同士の経営統合によるスケールメリット追求を目的としたM&Aです。簡単にいえば、お互いの企業が持ち得る市場を統合する一方、重複する事業拠点や事務管理業務をどちらかの企業に集約することにより収益力を高めることを目的としています。


日本でも銀行業界で代表されるように、都市銀行の場合1990年代まで一つの業界に12~13もの銀行がひしめき合っていました。金融のグローバル化により、海外の銀行が規模も収益力も高まって行く中で、日本では限られたマーケットの中で各銀行はパイの奪い合いという消耗戦を繰り広げていました。


バブル経済崩壊を契機に資産を大きく痛めた各銀行は、これでは海外の銀行に太刀打ちできないことから、一斉にM&Aに動き出し、いまや3行にまでメガバンクの数が減少しています。しかし、確かに企業として規模は嵩上げされましたが、果たして収益力までを高めることが出来たのでしょうか。


むしろ、この20年の間に情報技術革新が進展しているにも拘わらず、銀行業務の情報化が遅れており未だ旧態依然としたビジネスモデルのままであることが足枷となっていることが指摘されています。これからようやく店舗の統廃合や事務管理業務へのRPAというコンピューターによる機械化がはじめられようとしている状態です。


そもそもM&Aで企業を統合することにより物理的に企業規模を大きくすることは法的な手続きさえ踏めば直ぐに出来ることです。問題は、PMI(=ポスト・マージャー・インテグレーション)というM&A後の経営や事業の統合を実際にどの様に行っていくかという方が実利として大切な訳です。


世の中で行われているM&Aの多くがこのPMIまで踏み込んだ計画を持ちえないまま、企業統合を行ってしまうために、多くの失敗するM&Aを生み出してしまう現実があります。某大手メガバンクでは、M&A前の旧銀行ごとに人事部が存在しているという様な笑い話しが現実のものとして今も続けられています。


M&Aの中には、PMIを見据えて事前に相互補完効果を綿密に計画した取り引きも存在しますが、その様なM&Aは少ないと言わざるを得ません。よく事業を行うために必要な機能を獲得する為に行われるM&Aであるべきだと申していますが、そこまで考えられているM&Aは少なく、もっと雑駁に行われているのが現実でしょう。


これからの時代、やはりイノベーションにより新たな事業を創出することが各企業には求められると思います。これだけ世の中のスピードが速まっている時代に、ビジネスモデルを構築する為に必要な事業資源を全て自前主義で揃えることはリスクが大きいと言わざるを得ません。規模の経済に裏打ちされた資本力にものをいわせる時代でもありません。


また、これからの新規事業は、専門特化した企業と企業、業界と業界の垣根に存在していると考えられますので、M&Aにより企業を統合したところでその行間を埋めることは難しいものと思います。その為には、事業に不足する機能を埋めるべく、その機能を持つ企業とアライアンスにより連携する方がよほど効果的だと思います。


アライアンスは、M&Aに比べて機動性がありますし、事業に必要とする機能を直接受け入れることが出来ますので、非常に効果的であると考えます。また、何よりもM&Aのように買収資金という無駄な資本を投下せずに済みます。その意味では、事業の相互補完効果ならびに資本面において、持続可能なエコな取り組みだということが出来ます。


トヨタ自動車とソフトバンクによる共同事業である新たなMaaS事業化に向けて異業種企業90社が参画、第一三共のがん治療新薬事業における英アストラゼネカとの事業提携を見ていますと、新たな時代の息吹を感じざるを得ません。また、相模鉄道によるJR東日本や東急電鉄への相互直通運転などもアライアンスに含めて良いと思います。


M&Aも経営権を手放す必要に迫られているとか、業績が低迷し第三者より支援を受ける必要に迫られている場合など、必ずしも企業による規模の経済を追求していない場合においては有効な手段だと思います。これからの時代は、まずM&Aを検討する以前にアライアンスの可能性を模索してみるべきではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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