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MaaS、自動車業界の大連携!

皆さん、おはようございます!
つくれば売れたモノづくり社会においては、企業統合も単位あたりの生産コストを低減させるという意味を持っていたと言えます。しかし、多様化する社会の中で企業の垣根を越えて新たなサービスを提供する時代においては企業連携が大きな意味を持ちます。



トヨタ自動車、ソフトバンクを中核に、小売、物流、不動産など、幅広い業界の企業が連携して、新しい次世代移動サービスMaaS(=マース)の創出を目指すそうです。業界の垣根を越えて、データやアイディアを持ち寄るという意味において、これからの時代に向けた新たな胎動であると感じます。


トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社であるモネ・テクノロジーズはMaaSのプラットフォーマーとなるべく、それを実現するために必要なコンソーシアムを立ち上げました。このコンソーシアムにコカコーラ、フィリップス、ファーストリテイリング、ヤマトホールディングスに加え、商社、金融、不動産など90社が参画しています。


また、ホンダはこのモネ・テクノロジーズに2億5千万円を出資し、株式の約10%を取得することが注目されます。国内自動車販売首位のトヨタ自動車とライバル関係にある同2位のホンダの協業だからです。走行や制御に関わる基幹技術では競争しながらも、自動運転実用化の鍵を握る膨大な走行データの収集と分析では協調することを意味します。


この様な業界を越えた企業連携に向かわせる、来るべき次世代移動サービスとはどの様なものなのでしょうか。MaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービスの略で、自動車などの移動手段を所有せず、必要な時だけ料金を支払い利用するサービスを総称しています。ライドシェア(=相乗り)やカーシェアリングなどのサービスを指します。


鉄道、バス、タクシーなど複数の移動手段の予約、決済を統合したサービスへと広がりを見せています。将来的には自動運転車を使った移動型店舗、無人宅配、移動クリニックなどのサービスへ繋がることが想定されます。また、カーシェアリングが普及しますと、駐車場が少なくて済むなど、不動産業者の事業へも影響を与えることになります。


AI(=人工知能)を活用した交通量予測によって、渋滞解消や人手不足対策といった、社会問題の解決策にまで波及することが期待されています。10年後の2030年までに、市場規模が欧米中で150兆円を超えるとの推計がなされています。社会基盤を塗り変える壮大な事業であり、事業主体各社の連携なくしては実現困難と言えます。


ここで注目したいのは、MaaSが現実のものとして進展してきますと、いままでのクルマを所有する時代から、利用する時代へと転換することが余儀なくされます。そうしますと、いままで世界の自動車メーカーが凌ぎを削ってきた新車販売台数(=約95百万台)が頭打ちとなり、所有目的の新車販売台数は減少することが予測されます。


社会全体で見れば、私たち生活者の利便性を落とさずに(=むしろ向上する)資源を減らす(=車両台数を減らす)という意味で、持続可能なエコな社会に向けて一歩近づくことになります。一方、自動車各社は、新たな収益源を確保するためにCASE(=つながるクルマ、自動運転、カーシェアリング、電気自動車)にシフトする必要があります。


CASEは何れも各社単独では実現為し得ない新たな取り組みです。いままで蓄積してきた走行や制御という技術ノウハウを越えて、広くIT企業や電機メーカーと連携しながら新たなノウハウやアイディアを持ち寄り、新たな商品を開発して行くことが不可欠となります。いま社会で起きていることは業界の枠組みを越えたもっと本質的な部分です。


情報技術革新により、いままでの社会の表層的ではない地殻変動が起きていると言っても良いと思います。その様な時に、いままで築き上げてきた業界という狭い枠組みの中で自前主義に拘ることが出来ないことに企業も悟りはじめています。社会の課題に応えるべき新たな事業のプラットフォームに様々な事業主体が参集する時代です。


がん治療に関わる新薬の研究開発と販売における、第一三共と英アストラゼネカの事業連携も同じ社会の流れに則ったものだと言って良いと思います。バイオ医薬品の開発には数千億円もの研究開発費用が必要だと言われています。それを一社単独で行うにはリスクも大き過ぎますし、パフォーマンスを最大限高めて行く必要があります。


事業の目的ごとに事業連携を行っていく必要があるこれからの時代に、文化も歴史も異なる各企業を取り纏めるアレンジメント力が大切になって来ると思います。一つの明確なビジョンを描き、それに共感する事業主体が適宜必要に応じて参画する。そして各々の事業主体のノウハウやアイディアを統合する力が必要になるでしょう。


今日もありがとうございます!
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