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コミュニティのパブリック企業!

皆さん、おはようございます!
企業の資金調達というと借入か資本ということになります。中でも資本調達では、大手企業の様に資本市場から調達するか、中小企業の様に経営者自ら個人の資金を投入するかの何れしかありません。これだけ多様化する社会において少し寂しい気がします。



米ゼネラル・エレクトリック(=GE)をご存知でしょうか。1887年に電球を発明したトーマス・エジソンが設立したエジソン電気照明会社を設立母体として持つ、いまや重工業、軍需産業、航空宇宙産業、電気機器産業を手掛けるコングロマリット(=相互に関連のない異業種部門の企業を次々と買収・合併し、多角的経営を営む巨大企業)です。


そんなGEですが、2017年に保険事業で62億ドルの損失を計上し、2018年には電力事業で200億ドルを遥かに超える巨額の損失を計上して、目下、財務債権途上にあります。2020年に約190億ドルもの社債(=株式会社が資金調達のために債券の形で発行する有価証券)償還を控える中で、債券市場が懸念を示していました。


GEが発行する社債の格付評価(=企業業績や財務内容などを分析し、企業が発行する債券の元本や利払い能力の安全度を順位付けすること)が低迷する中で、新たな社債の発行による借り換えが危ぶまれ、それがまた発行する社債の格付評価を下げるという悪循環に陥っていました。


その様な財務状況のなか、GEは苦肉の策としてヘルスケア部門にあるバイオ医薬の開発・検査機器などの事業を総額214億ドルで売却することを決めています。これにより一連の社債償還問題に目途を付けた格好ですが、問題の本質は既存事業の収益力の低下、稼ぐ力が弱まっていることにあります。


これも、情報技術革新による社会の変化により、必ずしも規模の経済を追求することが企業にとって最大の防御と言われていたことが過去のものとなり、規模の不経済をも惹き起すことを端的に表しているものと思います。巨大な企業が資金を調達する為には、資本市場を通して行う必要がありますが、必ずしも万能である訳ではありません。


一方、日本の株式市場である東京証券取引所が1部市場、2部市場、新興市場に分かれている市場の区分を見直す動きがあります。1部市場に株式を公開する企業を見ますと、時価総額が20兆円を超えるトヨタ自動車から、時価総額40億円程度の企業までが存在しており、その格差が投資家に分かり難くいと言われているからです。


株式を公開する企業として1部市場に上場することが目標になるのですが、1部市場に上場した後もそれに甘んじることなく、いっそう成長をし続ける努力を促がす市場にしていくべきだという議論が為されています。これはこれで正論なのですが、いまの企業を見ていますと短視眼的にテクニックで時価総額の拡大を図っている様にも見受けます。


本来、企業は長期的な視点でじっくりと事業を成長させていくことが必要です。その為には、明確な事業構想を持って投資家からの共感を得ることが必要でしょう。スタートアップ企業にしても、当初から株式公開を目標とするところが多いですが、本来、新興市場に上場するまでにじっくりと事業基盤を整えておく必要があると思います。


事業基盤を整える為にも資金が必要であることは理解できますが、ベンチャーキャピタル(=ベンチャー企業に投資・融資を行い、その創業と成長を促進する専門の投資会社)から資金を調達しましても株式公開を促がされるだけです。本来、創業してから株式を公開するまでの間の資金需要を支える何がしかの資金調達手法があって然るべきです。


これからの企業は、企業が提供しようとしている商品のみならず、そこに企業としての哲学、企業理念が明確にないと生活者に受け入れて貰えなくなります。これは大手企業のみならず、スタートアップ企業であっても同じで、企業市民として生活者との間で共感し合うことが事業を成功に導く為には不可欠だと思います。


翻って、これからの社会は経済や資本が膨張し続ける時代ではなく、資本も共感という名の信頼・信用に裏打ちされた木目細かいお金の使い方がなされる時代だと思います。
その様な中で、生活者が共感を覚える企業から商品の提供を受けるのみならず、その企業を支えるという意味で出資をするということも増えて行くのではないでしょうか。


株式を公開するパブリック企業とプライベート企業の中間のコミュニティにおけるパブリック企業です。地域に根差した企業であれば、その地域から市民ファンドの様な形で出資を募るということもあり得る時代が到来するのではないかと思います。お金に願いを込めるではないですが、今までの様に合理性だけに依存する時代ではない様に思います。


今日もありがとうございます!
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