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銀行のフィンテックへの取り組み!

皆さん、おはようございます!
30年余り続いた平成も終わり、間もなく新たな元号を迎えようとしています。情報技術も進展し、これまでの経済も転換期を迎え、何もかもが節目を迎えている様な気にさせられます。古き良きものは残しつつ、新たな価値を積極的に採り入れていくべきでしょう。



IT(=情報技術)と金融が融合したフィンテックの分野で遅れをとっていた銀行が、AI(=人工知能)を活用した中小企業向け融資審査システムの開発に向けて動き出しているようです。3メガ銀行と地銀など18社連合が、中小企業の日々の決済情報を審査に使う解析システムを開発する新会社を設立します。


元々、このオンライン融資の分野は、アマゾン、リクルート、楽天、アルトア(弥生会計とオリックスの合弁会社)などの異業種企業が先行しています。各社が持つECプラットフォームや会計アプリケーションを利用する中小法人の営業動向、売上推移、売掛回収情報などをデータベース化してAIで信用力を判断して融資に繋げています。


確かに一見しますと非常に合理的な様に見え、勤務先、年収、返済実績などの情報を基に機械的に審査を行う個人カードローンの様に、今まで銀行のアナログな融資審査に比べますと数段とそのスピードが速まるメリットがあります。銀行としても銀行員を営業に専念させることができ生産性の向上が期待されるでしょう。


一方で、中小企業の業績判断をAIに委ねてしまっても良いのかという問題があると思います。それは、仮にAIであっても将来を予測することには限界があり、むしろ紋切り型の融資審査により将来可能性のある中小企業を切り捨てることになりかねないからです。過去の情報は必ずしも将来予測に役立たず、自ずと限界があります。


融資を行う立場からすれば、返済が焦げ付く確率の少ない融資先だけに貸付を行っていればコスト(=貸倒損失)を最小化できますので、敢えて先行きの分からない中小企業へリスクをとってまで融資をする必要がないという割り切りがある様に思えます。そもそも、中小企業は手間ばかりかかり銀行にとって生産性が低いという考えかもしれません。


敢えてリスクが確実な融資を行う必要はありませんが、AIをはじめとするシステムに審査業務を委ねるとローリスクローリターンな融資先ばかりを選好することになり、本来の持ち味である銀行員による目利き力が完全に失われてしまいかねません。中小企業が成長するか否かは、ある意味経営者の人となりに負っていると言っても過言ではありません。


時代の転換期を迎え、これからの情報化社会における企業は、今までの様に規模の経済を追求できる大手企業だけが優位に立つ時代ではなくなっています。お客様(=個客)と価値観を共有し、お客様(=個客)の期待に応えられる企業だけが生き残って行ける時代だと思います。その様な時代においては、企業の持つ規模が不経済にすらなり得ます。


これからは企業の規模に関わらず、仮にスタートアップ企業であっても成長の流れに乗ることが可能です。その様な時に、銀行が融資に際してAI審査だけを行っていては、成長できる会社を見捨てることにならないか、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。成長が期待される企業は、AI審査に寄らず別枠で支援体制を取るなど。


また、後継者のいない中小企業の事業承継問題について、業績の良い優良中小企業にばかり手厚いサービスが施されているようですが、業績の芳しくない中小企業でも他社に秀でた強みを持つものです。その強みを活かして事業を再構築して行くことも、これからの時代には必要なことであり、本来、銀行がその役割りを担うべきかと思います。


事業の再構築については中小企業のみならず、これからは大手企業も手を入れて行く必要のある企業が増えると思います。新たな時代の社会的な期待に応え切れない企業です。
どうも銀行の最近の動向を見ていますと、極端に生産性とか効率性の方向に舵を切りはじめていますが、銀行自体が必ずしも社会のニーズに応えられていない様に見受けます。


AI審査も良いですが、バンカーとしてもっと時代の動きを充分に見極めて頂き、コストを掛けるところと減らすところのメリハリを付けて行くべきではないかと思います。
いま社会で望まれているのは、肥大化した組織の生産性を上げることだけではなく、新たな社会の枠組みに向けた事業の創出です。


そのような中で銀行に期待されるのは、融資業務の範疇に留まることのない企業に対する支援業務だと思います。目に見える企業のリスクは取り払い、その上で目に見えないリスクを企業とともに取りに行く度量が必要ではないかと思います。その道のプロであるからには、リスクを見極める目利き力が事業を営む上での源泉となるものでしょう。


今日もありがとうございます!
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