誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

続 社会の枠組みと会計の500年史!

皆さん、おはようございます!
人類がこの500年の間に飛躍的に発展を遂げたのは「情報」の共有があったのではないかと思います。グーテンベルグが活版印刷を発明したのが1445年といわれています。
情報を紙に蓄積して人々が共有することにより新たな知識を生んだからでしょう。



19世紀に蒸気機関の発明によりイギリスで花開いた産業革命は、蒸気機関車、蒸気船そして自動車といった移動手段、ならびにそれにともなう通信手段を生み出し経済を進展させました。しかし、一方でアイルランドを襲ったジャガイモ飢饉が人々の生活を苦しめ、アイルランドから新大陸アメリカへ民族の大移動が始まります。


肥沃な大地で綿花を栽培して、ヨーロッパ諸国へ輸出することがアメリカでの最初の産業となります。この頃より、アフリカの住民が奴隷としてアメリカへ連れて行かれた歴史があります。それが先行き、南北戦争への引き金となって行きます。ここまでは、まだアメリカは統治国家になっておらず、イギリスをはじめとする諸国の支配下にあります。


一方、人の移動とともに資本の移動が起ります。アメリカでは早くから鉄道の敷設が行われ、雨後の竹の子のように鉄道会社が設立されたそうです。イギリスでの成功事例をもとに、そのまま技術と資本が輸入された訳です。イギリスという島国とは異なり、アメリカという広大な土地での鉄道事業ですので、更に巨額の資本を必要としています。


イギリスでの鉄道会社よりも巨額の資本金を必要とする為、ますます企業の所有と経営の分離が進んで行くこととなります。資本金を調達する為に株券を発行して広く資金調達がなされる様になります。そうすると、会計もいよいよ外部の株主のために企業の業績と財政状態を報告することを目的とした外部の人々のためのものとなって行きます。


南北戦争終結後は、これらの地域の鉄道会社が統合(=M&A)されるようになり、アメリカ大陸の横断鉄道として再編されることになります。合併することもあれば、買収されることもあり、この時にはじめて連結決算制度というものが誕生することになります。個々の会社の財務諸表からでは、グループ本来の業績が分からないからです。


余談ですが、アメリカ大陸という何もない土地に、鉄道を輸入して線路を敷設し、各地に街を形成して行く上で、それぞれの地域に歴史を背景とした街づくりはできません。そこで生まれた発想が、それぞれの街を標準化して同じ規格の街を各々の地域に作って行こうという考えです。ヨーロッパ諸国にない合理的な発想の起源がここにあります。


その考え方はアメリカの製鉄業、家電産業、自動車産業にも受け継がれています。
規格化された製品を大量に生産するという合理的な発想で、その為に企業の規模を大きくする必要があります。巨額の資本を投入して、巨大な生産設備を要する工場において同じ製品をひたすら作り続けることにより製造価格を引き下げていく方法です。


そこにはもう一つのアメリカならではの事情もあります。多民族国家のアメリカでは、労働力の能力のバラつきが大きいため、業務内容を小分けにして標準化する必要があったのです。誰でも出来る業務内容とすることにより、製品のバラつきを軽減する為に流れ作業が生まれたと言っても良いと思います。


スケールの大きさ故の発想だと思いますが、大量生産大量消費の起源はアメリカならではものなのですね。この規模の経済を追求する考え方が、いまの社会の枠組みをつくるに至っている訳です。ただし、ヨーロッパ諸国では、必ずしも日本のようにこの規模の経済を追求する形の枠組みを全面的に受け入れている訳ではありません。


昔ながら、伝統的なモノづくりをも大切にしながら、良きところは受け入れているという感じでしょうか。重工業主義も時代のプロセスの一時点のことかもしれません。
この様なアメリカのスケールメリットを追い求める経済の中で、証券市場が生まれますが、いまのように規制が厳しくなく企業の開示情報にも恣意性が残ったようです。


皆さまも良く知る1929年に起きたブラックマンデーを境として、公認会計士による監査やインサイダー取引規制など、証券市場の規制が強化されていくことになります。現在の投資家への報告を目的とする財務諸表の原型は、この頃に確立されることになります。
一方、企業が巨大化してくると経営者の管理目的での財務数値が必要になります。


そこで生まれたのが、原価計算制度、セグメント(事業部別、製品別)会計などです。財務会計が投資家への報告目的であるのに対して、これらは管理会計と言われ、再び自分たちの経営のための会計が必要になっています。そして、その会計がファイナンスと融合しはじめているのが現代であると言えます。時代とともに変わり行くのが会計です。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp



*お知らせ*
今までのブログを基にamazonより電子書籍を出版しています。

「電車」で「サクッ!」M&A学習
「電車」で「サクッ!」M&A学習
2019-02-25
Kindle本
×

非ログインユーザーとして返信する