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総合商社のイノベーション!

皆さん、おはようございます!
情報技術革新により多くの大手企業が、いままで築き上げてきたモノ中心社会におけるビジネスモデルを続けていたら事業が立ち行かなくなることに気付き始めています。これからの時代に相応しいビジネスモデルへの変革が急がれます。



総合商社の事業は、資源から小売に至るまでのあらゆる商品をグローバルに「仲介」する機能が基本にあります。その意味では、世界各地を飛び回る商社マンが収集する「情報力」が商社の強みの源泉にあるといって良いと思います。また、それに付帯する「投資力」、そして「貿易力」が事業の柱となっています。


特にこの20年余りにおいては、盤石な財務基盤を拠り所として、ある一定の産業の原料調達から、生産、小売に至るまでのバリューチェーン(=川上から川下に至るまでの資源の価値連鎖をいう)を自社グループ内で構築(=個々の企業を買収)して圧倒的な産業支配力を掌握するビジネスモデルを展開するまでに至っています。


例えば、大手総合商社によるコンビニエンスストアの子会社化は分かりやすい事例だと思います。三菱商事によるローソン子会社化や伊藤忠商事によるファミリーマート子会社化です。ただ単に、小売業進出と考えるのは早計で、コンビニエンスストアで取り扱う商品の原料調達から物流、更には海外展開まで総合商社として関与することが考えられます。


特にこのコンビニエンスストアは、情報技術革新により流通業界全体がアマゾンをはじめとするネット通販会社が市場を席巻しつつある中でも、最終消費者と接点を持つ最後の砦として、また今後の進化が期待される無人店舗の実用化拠点としても、今後の商社のビジネスモデル変革の試金石として持つ意味が大きいと考えられるでしょう。


情報技術革新により出現したアマゾンをはじめとするネット通販会社は、総合商社にとっての強力なライバルになっていると考えられます。アマゾンは世界中の個客の購買需要予測を行いそれらを獲り纏めてメーカーに集中発注による規模の利益の追求が出来るのみならず、カスタムメード商品の提供すら可能とすることが出来ます。


総合商社にとっては、長年、リアルなビジネスで強固な事業基盤を築き上げて来ており、情報化投資が大きく遅れています。現状、何れの総合商社も業績が好調であることから、デジタル化対応を図らなければならないという意識はあっても、あまり差し迫った危機感を感じていないのかもしれません。


この辺がユニクロやイオンが情報化投資に1兆円近い資金を捻出するのと受け止め方の大きな違いなのかもしれません。三菱商事の垣内社長は、自ら情報技術を社内に持つことは考えておらず、AI(=人工知能)やIot(=すべてのモノがインターネットにつながる)はツールでしかなく、それを活用した新たな事業を創って行くとしています。


確かに、いままで社内に情報技術の蓄積がない中で、進歩の速い技術を追い求めることは得策ではないかもしれません。しかし、これからの時代、情報技術革新により社会が大きく変化して行くことが確実となる中で、総合商社が一定の情報技術を社内に持つことは、それを活用した事業を考える場合でも必要ではないかと思います。


仮に総合商社がGAFA(=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)といった企業と協業するに至った場合でも、必要最低限の情報技術を社内に蓄積していないと、後塵を拝することにならないでしょうか。総合商社にビッグデータビジネスを望む訳ではありませんが、これからは情報が価値を生む時代であることは間違いありません。


総合商社が今まで蓄積してきたビジネスモデル構築力を生かして、リアルビジネスに情報技術を融合した新たなビジネスを創ることに活路を見い出すとしても、いま総合商社が持つ商流を効率化するのが情報ビジネスの要諦です。リアル資源の利権を自分たちが持っているからと漫然と構えていられないものと思います。


ただし、そんな総合商社も現在の社会や経済の変化に対応することが最大のテーマになっている様であり、商社独特の産業別に括った縦型組織ではこれからの時代に相応しい新たな発想が出てこないことは充分に認識しているようです。これからの時代は、供給者主体の効率性ではなく、生活者主体の豊かさが望まれることになるからです。


総合商社は情報化社会において、いままで蓄積した経営ノウハウに情報技術を融合させることが必要であることを認識しています。しかし、それがどの様なビジネスであるかを明確に示すことが出来ないでいると言えます。情報技術革新のスピードは想像以上に早く、総合商社各社はそのスピードを肌で感じる必要があるのかもしれません。


今日もありがとうございます!
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