皆さん、おはようございます！
流通業、銀行業など、ともに店舗を構える立地産業と捉え直すことが可能だと思います。その立地産業が、新たな事業の可能性を求めて大きく動き始めています。これも情報技術革新によりネットビジネスが興隆することによる社会のメカニズム変化の兆しでしょう。

セブン＆アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が好立地の店舗内でシェアオフィスの展開をはじめるそうです。２０２０年２月末までに１０店に導入する計画です。
大型商業施設では、ネット販売の興隆によりアパレルの販売不振が続き、店舗内テナントが退店する動きが増えており、店舗不動産の有効活用を進める動きが活発化しています。

アパレルや日用品のテナント誘致が難しくなるなか、余剰となったスペースに働き方改革で需要が高まっているシェアオフィスを誘致し、新たな収益源を模索することを企図しています。イトーヨーカ堂では、シェアオフィスのテナントとして、不動産業のザイマックスと連携して運営するシェアオフィスを入居させる計画です。

総合スーパーにシェアオフィスを設けるのは全国でも初めての試みだと思います。この意外感からイノベーションが始まるものと思います。総合スーパーといえば、１階か地下１階に食品売り場があり、２階にはアパレル売り場が、３階には日用品・家電売り場があり、最上階にフードコートや各種サービステナントが居を構えるのが常識です。

これを立地産業と発想を転換してみますと、採算の合わなくなった売り場を止めて、時流にあった新たなテナントを誘致することが必要となります。まさか家電売り場と隣り合わせでシェアオフィスを配置すると違和感がありますので、そこには如何に店舗全体のゾーニング（＝間取り）するかという店舗毎のコンセプト作りが大切となります。

その様な新たな店づくりを進めることの結果として、いままでの総合スーパーとは概念を異にする新たな業態が生まれてくるのではないでしょうか。折角、シェアオフィスという人々が集う空間が出来る訳ですから、シャワー効果を期待して来店していただいたお客様に買い物をして頂いて、店舗内にお金を落として行って頂きたい。

シェアオフィスの周辺にリラグゼーション施設、カフェ、書店、文具店があっても良いと思います。キンコーズなどがあっても便利ですね。当然、お昼になればフードコートを利用すると思います。フードコートのメニューを家族向けだけでなく、ビジネスマンを対象にして充実（＝テナントを増やす）させても良いと思います。

シェアオフィス利用者も帰りがけには、夕飯の食材を買って帰る必要があるでしょう。この様に考えますと、シェアオフィスが入居する店舗は、いままでとは異なる業態になって行きます。店舗全体のコンセプトも庶民的な香りから、もう少し垢抜けたコンセプトに変えていく必要があるかもしれません。

この様に発想して行くことにより、総合スーパーのイノベーションが起きてくると思います。その時は既に総合スーパーマーケットでは無くなっているかもしれません。逆に最近ではシェアオフィスが乱立しつつあり、どこの施設も似たような造りとなっていますので、こちらを家庭的なシェアオフィスとして業態開発しても面白いと思います。

バブル経済華盛りし時までは、小売業でもロフト、ハンズ、無印良品など様々な新しい業態が生まれて来ていましたが、どうしたことか今はなかなか生まれ難い社会となってしまいました。それは、恐らく今ある業態を守ることに必死となってしまい、時代（＝消費者の動向）の変化にあわせて、業態を変えることを拒んでいるからではないでしょうか。

一度確立したブランドを変えていくという発想が欠けているのだと思います。いまは、世の中の移り変わりが早い時代ですので、一度築き上げたブランドでもどんどん進化させて行くべきでしょう。その進化が上手い会社として丸井に注目します。創業当初は月賦百貨店という業態でしたが、これからの業態は既成概念で括ることが出来ません。

気が付いてみれば、若年層を対象とした先端アパレル小売店から、ＤＣブランドファッション専門商業施設へと変遷を遂げ、今ではパルコと同じ様な商業専門ビルとなっています。その間にも変わらず持ち続けているのが、マルイカードです。変化し続ける中でも、変わらないものをも持ち続けることも大切なのでしょう。

その丸井も、既に大宮、静岡、草加の店舗でシェアオフィスを設置しています。都心の好立地店舗ではない、ベッドタウンに位置する店舗のシェアオフィスとして、都心に出るまでもないワンストップの立地が多くの需要を創造する様に思えます。そう言えば、パルコも渋谷で開発中の新店舗で、コワーキングスペースを設置するようです。

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