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作品としての個商い!

皆さん、おはようございます!
今まであたり前と考えられてきた価値観が大きな転換点を迎えつつあるように感じます。
スケールメリットを前提とする価値観は、必ずしも生活者が望んだ最終的なあり方ではなく、一つの通過点に過ぎないのではないかと思います。



ここにとても個性的なこれからの時代を担うだろうと考える一つの会社があります。
その名は株式会社スマイルズ(=以下、スマイルズ)。きっと「スープストックトーキョー」という名前を掲げれば、誰しもが思いだすのではないでしょうか。
2000年に遠山正道社長が総合商社の社内ベンチャーとして立ち上げた会社です。


そのスマイルズがGINZA SIX内で海苔弁専門店「海苔弁 山登り」とやはり銀座で1冊の本だけを売る「森岡書店」を経営しているとは知りませんでした。
スープストックトーキョーとは何ら脈絡のない事業に見えますが、それぞれの事業コンセプトが根底では繋がっていることを知った時にはとても合点がいく思いでした。


創業事業であるスープストックトーキョーは「女性がスープを飲んでホッとする姿」がコンセプトになっています。ちょっと贅沢でお洒落なファストフードという捉え方です。
遠山社長曰く、ファストフードに対して「自分だったらこうしたい」という発想が原点にあるといいます。視点が自らの生活者としての捉え方なんですね。


「海苔弁 山登り」は日本航空の機内食で好評であったため、それを事業化したものなのですが、コンセプトは「登山後に食べる海苔弁っていいね」であり、ハイエンドの庶民的な弁当という矛盾が大当たりして、売れ行きが好調とのことです。こちらも、生活シーンに焦点を充てており、自分事としてコンセプトが建てつけられています。


一方、「森岡書店」は茅場町(=東京)で書店を営む森岡督行氏が提案してきたことがきっかけの様ですが「毎週がオープニングの世界最小(=5坪)の本屋」がコンセプトになっています。生産者が道の駅で農作物を直接売る姿をイメージし、1冊の本だけを売ることにより作者と読者を結び付けることが狙いにあるそうです。


その他にも1日1組だけが宿泊できる築90年以上の古民家を改築した「檸檬ホテル」(=香川県土庄町)、年に1店舗だけ出店する拘りのファミリーレストラン「100本のスプーン」、看板のないバー「toilet」をはじめ様々な個性的な事業を運営しています。その底流にあるものは、どれも自分の生活目線で考えた欲しいものです。


スマイルズの経営理念には、『社内、社外を問わず、スマイルズが共感する個人や企業の意志を支援します。 短期的収益性や市場成長率よりも、その個人や企業の魅力や能力、そして「熱い想い」に価値を見出し、長期的な視点で「共に学んでいく先に未来がある」と考えています。』とあります。


今までの会社経営の常識からしましたら、一つの事業に専念してスケールメリットを追求していくことにあったと思います。それを自分目線であたかも個人商店を開業していくが如く、多種多様なお店を「自分だったらこうしたい」という感性で捉えています。そこにはチェーンストアオペレーションという概念は存在していません。


共感できる生活シーンを持つ事業のアイディアとスマイルズがこの20年の間に蓄積してきた理念、ノウハウ、人脈を最大限に生かして個々の事業化に繋げています。スマイルズの売上規模は17億円程度ですが、とても異彩を放つ個性的な企業だと思います。アーティストの如く、ビジネスの一つ一つを作品とでも捉えている様です。


本来の事業とは、こうあるべきではないでしょうか。事業を科学していては新しいビジネスを創造することに覚束ないものと思います。個人の仕事、ビジネス、事業というものは、本来一致しており個人の仕事=ビジネス=事業という関係が成り立つことが理想だと思います。現代は規模を追うが為の分業化により仕事<事業となってしまっています。


情報技術の進展により、生活者は受動的な需要者から、能動的な賢い需要者へと変容しつつあります。その様な生活者の心を捉えるのは、昭和の名残をもった供給者の論理ではなく、あくまでも生活者本位のあたり前の社会であるはずです。それを実現していくには、規模の経済を追求する階層をもった組織ではなく「個」の感性であると考えます。


個の作品としての商いを追求していく中にあるものは、消費者としての目線を兼ね備えた供給者(=生産消費者、プロシューマー)以外に考えられないものと確信します。
これからの時代、企業に勤めていながらも「個商い」という視点が必要になって来るでしょう。自分の思いをいかにビジネスに込められるかが大切な時代だと思います。


今日もありがとうございます!
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