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ビール業界の事業構造!

皆さん、おはようございます!
お盆休みも終わり、今日から通常通り仕事に復帰する方が多いのではないでしょうか。
ここ2、3日、真夏にもかかわらずカラッとした涼しい日が続いています。
今週も気温は低めですので、疲れた体を癒すには絶好の一週間ですね。



猛暑にもかかわらず、ビール系飲料の市場は13年連続で縮小しているそうです。
大手ビールメーカー5社の出荷量は過去最低を記録しているとのことです。
最近は、嗜好品のニーズが多様化しており、ワイン、地酒、サワー系の酒類も販売する種類が増えていることもビール系飲料の市場が低迷している理由と考えられます。


その様ななか、同じビール系飲料を生産するメーカー各社とも、ブランド力こそ異なりますが、同じ様な事業構造を持っているにも拘わらず、各々異なる打開策に着手しているようです。アサヒビールとサントリーは、M&Aにより海外のブランドを手中に納め、キリンビールはクラフトビールやPB商品の受託生産に活路を見い出しているようです。


新商品の流行り廃れのライフサイクルが早い酒類を商品とするなかで、比較的安定的な市場を維持している海外の有名ブランドを買収し、売上高や利益面の増加による成長を継続したいアサヒビールとサントリーの考え方は、規模の経済を追求する経営思想と言えます。ただし、その買収価額が投資対効果という面で妥当かどうかが要点になります。


現在においても未だにM&Aにより企業規模を拡大させることを重視する会社が多いですが、スケールメリット追求型の単調なM&Aは時代にそぐわなくなってきている様に思います。資金力にものを言わせて事業を買収し傘下に置く経営手法は、本来の事業活動とは異なる投資(=財務)活動とも言うべきです。


M&Aには、ファイナンシャルM&A(=金融活動の一環としてのM&A)とストラテジックM&A(=事業戦略上のM&A)があります。両者の違いを明確に区分しますと、前者は飽くまでもM&A投資に対してどれだけのリターンが得られるかに主眼が置かれ、投資利益を確定させるために、何れ売却することも視野に入れて行われます。


これに対して後者を強調して申し上げますと、買収企業が事業を展開する上で必要な事業要素を取り込むM&Aをいい、買収企業と被買収企業の事業間に相互補完効果(=シナジー効果)が認められるということが出来ます。ファイナンシャルM&Aはファンドにより行われる取引が多く、ストラテジックM&Aは事業会社による取引が多いと言えます。


では、アサヒビールやサントリーの行っているM&Aが事業戦略上のM&Aかと言いますと、私は中間に位置するM&Aだと思えます。確かに事業会社が行うM&Aではあるのですが、当事会社同士の相互補完性が弱いと見えるからです。単に海外市場を獲得に行く、海外ブランド商品を国内で独占的に販売するだけなら別にM&Aでなくとも良い訳です。


その意味では、被買収企業の企業価値(≒株価)以上のお金を積めば理屈上はいつでも買収できるタイプのM&Aということが出来ます。その代わり、マネジメントの観点からは買収企業と被買収企業の一体感が薄くなるリスクを内包していると言えます。
素晴らしいM&Aというものは、1+1が3にも、4にもなる様な取引です。


その為には、単に市場を獲得するだけではなく、両者間で技術移転を行い、共同で新商品を開発するなど、ガップリと四つに組む取り組みである必要がある訳です。
その点、M&Aは行っていませんが、キリンビールのPB商品受託生産やクラフトビールとの連携は好感が持てます。


自らが酒類飲料「メーカー」であることに徹して、PB商品であれお客様が望むものであればどの様なものでも、その期待に応えて行くという姿勢が窺い知れます。
また、クラフトビールメーカーとの連携であれば、自らの生産設備や販路といったバリューチェーンを開放して、共存共栄の道を探る姿勢が見てとれます。


まるで自らの有形、無形の事業資源をプラットフォームと見立てて、それを活用したい企業に開放して事業支援する形態は、同業他社よりも寧ろ、アマゾンやアップルなどAFGAにみるITプラットフォーマーの事業構造に近いものとして見えて来ます。酒類飲料を生産する会社というより、ノウハウというサービスを提供する会社にすら見えます。


これからの時代、日本各地のクラフト酒類メーカーが着目される時代となりますが、それら中小酒類メーカーが安定成長して行くためには、キリンビールの様な大手企業によるM&Aによらない協働、より良い関係を構築していくことが不可欠だと思います。それは、消費者がクラフトメーカーの嗜好品としての独自性に着目しているからでしょう。


今日もありがとうございます!
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