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M&Aに関する情報開示の充実!

皆さん、おはようございます!
羽田空港でタキシング中の旅客機2機の翼が接触するという、珍しい事故が起きたことに関し、調べてみれば台湾エバー航空を追い越そうとしたタイ国際航空が起こしたようです。昔ならあり得る事故ですが、いまは全て航空管制に従っていますので管制側のミスでしょう。



国際会計基準(=IFRS)を策定する国際会計基準審議会(=IASB)は同基準の適用企業(=国内にもIFRSを適用企業が増えてます)に対し、M&A(=合併・買収)に関する情報開示を拡充する要請の検討に入っています。M&Aが売上高やコストなどに与える効果を定量的に示すことを求め、2024年にも情報開示の草案をまとめるとしています。


M&Aの世界的な増加で財務リスクが膨らんでいることが理由にあり、投資家がリスクを評価しやすくことを目的としています。買収額と買収先企業の純資産の差額である「のれん」が急増していることが背景にあり、世界の約3万7千社ののれんは2022年末で約9兆5千億ドル(=約1300兆円)と10年で5割も増え、純資産の19%にあたるそうです。


IFRSはのれんの定期償却を義務付けておらず、買収先企業の収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合に減損処理することになってます。世界景気が悪化した際などに多額の減損計上が相次ぐ恐れがあります。M&A取引の透明性を高め、経営者に説明責任を負って貰うようにすることは当たり前であり、これまでの定性的情報だけでは足りません。


企業が重要と見做す全てのM&Aについて、実施した年の財務報告書で期待する相乗効果の開示を要請し、売上高やコストなど定量情報の開示が必要になる予定です。大型買収など経営戦略に重大な影響を及ぼすM&Aについては、より詳細な開示を要求する形です。買収先企業の売上高や営業利益などが自社の10%を上回る場合に、それが必要になるようです。


M&Aの目的や数値目標などの開示を求め、買収先企業の販路を活用して自社商品を売り込み、進出企業で5年後に1000億円の売上高を目指すといった開示が想定されます。市場からは歓迎する声が高まっていますが、企業側からは開示負担が増えるほか、他者との競争が不利にとなりM&Aの目的を達成し難くなるといった理由から懸念する声が目立ちます。


これまでIASBは急増する企業ののれんが損失に転じるリスクを懸念し、日本の会計基準と同様な定期償却の導入の是非を議論してきた経緯がありますが、時を同じくして米国が自国の会計基準でのれん定期償却の導入議論を取り止めたことなどから見送られた経緯があります。日本ではのれんの定期償却と減損処理を併用する企業会計基準を義務付けています。


定期償却は決算での減益要因となりますが、将来の減損リスクの低減にも繋がります。経営者の楽観的な見通しにより、のれんの減損処理は遅れがちだと言われています。米国では純資産に対するのれんの比率が2021年度で4割に達しており、日本の1割りを大きく上回っています。日本企業ではソフトバンクグループ、武田薬品工業ののれんが多い状況です。


のれんをどの様な概念で捉えるかという問題になりますが、日本基準の様に将来リスクに対する保守的な観点も必ずしも企業の財務実態を示しているとは言えません。のれんは、買い入れた将来収益を資本化したものですから、明確に貸借対照表に計上すべきだと思います。その上で、投資家等の判断に足り得るのれん評価の定量情報を企業が開示すべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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