誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

三井住友の企業再生投資!

皆さん、おはようございます!
中小企業の中に補助金を積極的に活用することを目的とする経営者がいらっしゃいます。それ自体は政策的な企図がある補助金ですので悪いことではないのですが、補助金には色々と事業運営を阻害する制約もありますので、あまりそれに固執せずに上手く活用すべきです。



三井住友ファイナンシャルグループは、三井住友銀行が2020年に設立した子会社SMBCキャピタル・パートナーズを通じ、経営再建や事業承継を目指す企業への出資を加速させ
、数年内に2000億円を投資するそうです。銀行法改正による出資規制緩和を受け、過半出資し企業価値を高めた後に売却する手法を使える様になった事を踏まえた取り組みです。


同社はこれまで過半に満たない少額出資による企業支援を手掛けています。メガバンクでは初めての取り組み(=りそな銀行も昨年より始めています)であり、議決権の過半数を握る出資による再生・承継手法を導入し、出資先企業の再生を主導していくことを企図してます
。SMBCは、規制緩和を受け金融機関にとっての新しい収益機会と捉えてるのでしょう。


銀行は従来、事業会社への出資が原則5%までに制限されてきた経緯があります。ただし、事業の再生や承継を進めていくには銀行が持つ潤沢な資本が不可欠との政策的な判断から、段階的にルールが緩和されてきています。現在では、事業再生目的で100%出資する際の要件が緩められており、事業承継目的での子会社化も認められた格好となっているのです。


SMBCとしては、過半出資した企業に人財を送り込み、経営改善を通じて企業価値を高めるとしています。企業の株式の過半を取得し、価値を高める手法は投資ファンドなどが手掛けてきています。SMBCの参入の背景には、デジタル化や気候変動対応による企業の経営環境の変化や経営者の高齢化等で、再生・承継市場の急拡大が見込まれることがあります。


また、コロナ禍で始まった実質無利子・無担保融資の返済が本格化するにつれ、中小企業の再生に向けたM&Aや企業再生投資の需要もますます高まるものと考えられます。地方銀行なども参加の投資ファンドを通じて企業に過半出資する手法が広がっているようです。銀行が融資と出資の両面から企業再生する流れは銀行にも社会にとってもメリットがあります。


ただし、銀行にとって事業会社の経営は未知数の領域であることも事実です。業績が芳しくない投資先企業の企業価値を高めるために、コーポレートファイナンスの見地のみだけでテクニカルに財務リストラを行うだけでは目的を達成することは出来ないでしょう。必要なことは、投資先企業の光り輝く事業資源に焦点をあて事業を再構築していくことが必要です。


経済が右肩上がりの時代とは異なり、現在の中小企業が抱える問題は産業としての構造不況なのです。その様な中で業績を回復させ企業価値を高めていくためには事業構造を転換していく以外にあり得ません。その時に、形骸化した融資審査ばかりを行ってきた銀行に、その様な事業の目利きができる能力を持った銀行員が果たしてどれ位いるのか疑問に思います。


SMBCは企業再生に必要な専門人財を選別し集めている様ですが、企業価値の向上を担いきれるのか、不透明な面も残されているといえるでしょう。メガバンクだから、優秀な行員が揃っていると思うのは、あまりにも本質を捉えていません。確かに投資先企業に人財を送り込めば、銀行にとって事業の目利き力を持つ人財を育てることには繋がると思いますが。


今日もありがとうございます!
https://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する