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そごう・西武売却!

皆さん、おはようございます!
自ら勤める会社が、ある日突然に新聞のトップに掲載されていたら、どの様な気持ちなのでしょう。それも一度のみならず、二度にわたって経営破綻や売却という現実であったなら。
一世を風靡したグループ中核企業の置かれた状況に驚きと遣る瀬なさを感じてしまいます。



セブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店事業を営むそごう・西武を売却する方向で最終調整に入っていることが明らかとなっています。複数の投資ファンドや事業会社が売却先候補として挙がっており、2月中に入札で相手先が決定される見通しです。ファンドか事業会社の何れが買収するかによって、百貨店事業が全く異なるものになることでしょう。


大型化する総合スーパー(=GMS)による専門店を強化したショッピングセンターとの競争激化やネット通信販売(=EC)の台頭、更に追い打ちをかけような新型コロナウイルス蔓延により百貨店の来店者数が激減しているなど、長らく業績不振が続く百貨店各社が生き残り策を模索している中で、背に腹は代えられないセブン&アイHDの決断だと思います。


セブン&アイHDとしては、百貨店事業を切り離すことにより、海外を中心に成長を見込むコンビニエンスストア事業に経営資源を集中する方針です。もの言う海外株主からも、コンビニエンスストア事業とそれ以外のスーパーや百貨店事業との分社化によって、コングロマリットディスカウントにより低迷する企業価値(=株価)を是正する声が増えていました。


セブン&アイHDの中興の祖、セブンイレブン創業者でもある鈴木敏文名誉顧問が敷いた総合小売路線に決別し、現経営執行部による株価経営を鮮明に打ち出すことを意味してます。同じく業績不振で最終赤字を出しているGMSイトーヨーカ堂については、PB商品の企画開発・調達面でコンビニエンスストア事業との関係が深いことから残す方針とのことです。


スーパー事業やコンビニエンスストア事業の中で育ってきた現経営陣から見れば、いまから15年前に買収したそごう・西武という百貨店事業は、同じ小売りでありながら業態が異なることから、やはり門外漢で迫りくる事業環境の変化に直接手を下す術も分からず手を焼いていたのではないでしょうか。どこまで百貨店事業に介入できていたのか疑問が残ります。


その様な中で株価経営を目指していると思しき、最近の米コンビニエンスストア事業2兆円での買収やインテリア雑貨フランフランの売却など、経営資源の集中と選択は、確かに経済合理性に適っている様に見えます。しかし、それは投資会社が行う経営視点であり、事業を創出させ成長させていく事業会社にとっての使命から、些かかけ離れている様に感じます。


株価経営の本質は、短期的かつ機動的に事業から生じる結果としてのキャッシュフロー視点で事業ポートフォリオ組換えばかりに注視することではなく、事業からどれだけキャッシュフローを創出できるか実態である事業そのものを日々の事業活動の中で改善、事業再構築していくことだと思います。キャッシュはキャッシュを生み出さないことに留意すべきです。


そごう・西武の売却先としては、安易に投資ファンドではなく、事業会社にすべきだと思います。売却する側の論理からすれば、少しでも売却価格が高いところということになるのですが、投資ファンドそのものはこれからの百貨店事業の付加価値を生み出せません。むしろ同じ事業会社でも同業他社ではなく、ネット通販のような異業種に期待したいところです。


今日もありがとうございます!
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