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イオンの100円ショップ買収!

皆さん、おはようございます!
身体に浸み渡った経験知(=暗黙知)を軸として今後の展開を組み立てることが何よりも大切だと感じています。将来に向けてダイナミックに行動して行くことも可能ですが、そこはやはり肌感覚と目利き力を活かすことによりリスクテークすることが可能になるからです。



イオンは、100円ショップ大手のキャンドゥ(=東証1部)を買収することを発表しています。TOB(=株式公開買い付け)および創業家城戸一弥社長の資産管理会社の株式取得により、キャンドゥ株51%の取得をする予定です。その目的は、原材料コストや人件費が上昇するなか、キャンドゥが持つ低価格商品開発力などを取り込むことが背景にあります。


キャンドゥはイオンによるTOB後も株式上場を維持する方針であり、子会社後もキャンドゥ城戸社長は社長業を続投する方針です。イオンから2~3人取締役の派遣を受けることで検討をしている様です。総合流通業であるイオンは、主力のスーパーマケット市場が成熟し飽和する中で、100円ショップ市場まで手中に収め、如何に成長戦略を描くのでしょう。


キャンドゥは100円ショップ業界3位、全国に約1140店を展開しています。2020年11月期の売上高は730億円です。人気キャラクターを使った雑貨などに強みを持ち、都心主要駅前などに多くの店舗を構えています。最近の100円ショップは一昔前と異なり在庫処分を目的とした事業からオリジナル商品を企画販売する事業に変化を遂げています。


ただ、新型コロナウイルス下での外出自粛などの影響を受け、2021年11月期の業績予想を下方修正しており、連結純利益は従来予想を1億6千万円程度下回り、3億円と減益に転じる見通しです。そのこと自体が、キャンドゥの経営権を手放す理由になっているとは考えられませんが、競争激化下の成長戦略を考慮しますと良いタイミングからもしれません。


単一業態で成長を描こうにも、チェーンストアオペレーションの効率を高めながら、矢継ぎ早に新商品開発を行っていく以外に手立てが考えられません。しかし、イオンの傘下に入ることにより、イオンが展開する店舗網に新たに出店させて行くことも考えられます。しかもイオンという巨大な財務基盤を後ろ盾に、新規出店の費用を捻出することも可能でしょう。


一方、イオンはキャンドゥの買収により100円ショップに本格参入することで、取り扱う商品構成を更にバラエティに富んだものにすることが可能です。新型コロナ禍で主力の総合スーパー業態などは衣料品や住関連商品の販売苦戦が続いており、資本の論理を背景とした新しい収益源育成が課題となっている中で、その何れのニーズをも満たすことが出来ます。


イオンは過去に100円ショップに対抗できる割安な品揃えの強化に取り組んできた経緯がありますが、ノウハウ不足で成果を上げることが出来なかったようです。同じ流通業界の像と蟻のような格差がある両社ですが、餅屋は餅屋ではありませんが、そこはやはり長年その業態の事業に長じてノウハウを磨いてきただけに簡単に模倣することは敵わないでしょう。


今回のイオンによるキャンドゥ買収の取り組みは、見過ごしてしまいそうな在り来たりのM&Aかもしれません。M&A取引としては互いにシナジー効果が認められるオーソドックスかつ最良の組み合わせなのかもしれません。しかし、その背景には両社ともに資本の論理が多分に働いていることを見逃してはならないでしょう。規模の経済という標準化の道です。


今日もありがとうございます!
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