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地銀の持ち株会社化!

皆さん、おはようございます!
企業買収といいますと、一般的に完璧とまでは言いませんが、ある程度事業基盤がしっかりした会社を買収するものと思われることでしょう。しかし、その様な買収は一握りであり売り手にとって売却せざるを得ない事情がある、多分に経営者の心理的側面が強いものです。



これまで銀行の持ち株会社化は、経営統合が絡むことが多かったと思います。本業である銀行同士は合併せず、持ち株会社の下に並列的にぶら下げて、銀行の独自性を保ちつつ存続させる方法です。例えば、肥後銀行と鹿児島銀行を傘下に持つ九州ファイナンシャルグループや福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行を持つふくおかファイナンシャルグループなどです。


ところが、ここにきて経営統合せず単独で持ち株会社をつくる地方銀行が増えています。この10月1日に沖縄銀行、十六銀行、北国銀行がそれぞれ持ち株会社を新設、銀行傘下にあった証券業務やファンド運営といった機能を切り離し、銀行と並列になるよう持ち株会社の下にぶらさげる形態に変更しています。狙いはそれぞれの機能を強化することにあります。


超低金利下で収益源を広げる必要に迫られていると同時に、融資だけでは取引先のニーズに応えられなくなっている実態が背景にあります。事業変革や人手不足、デジタル化への対応など、多様化する地元企業のニーズに総合的に応えるため、業務範囲規制が厳しい銀行では提供し切れない機能を兄弟会社に担わせ、それそれの機能を強化して拡大する考え方です。


また、それら機能を銀行というガバナンス体制の中に置いておいては、本業の融資というビジネスモデルばかりが優先されてしまい、機動的に活かしていくことが難しいばかりか、人間の心理的にも銀行の中で新しい発想に繋げていくことは難しいでしょう。本業の銀行ビジネスを変革することに塗れてしまい、その他の機能に手が回らないということでしょうか。


これら持ち株会社への移行を試みる銀行の目指すところは次世代版地域総合会社への転身であり、地域商社といった新たな領域を収益化するためのガバナンスや人材育成を持ち株会社が主導して行く姿を描いているところにあります。また、改正銀行法で異業種への参入が大幅に緩和され、銀行以外の機能を銀行の兄弟会社が営む場合、届出で済むようになります。


持ち株会社の傘下に銀行とその他の子会社を並列させる先駆けが2020年10月にひろぎんホールディングスへ移行した広島銀行です。今年4月に街づくりを担う「ひろぎんエリアデザイン」、人材紹介を手掛ける「ひろぎんヒューマンリソース」をホールディングス傘下に新設し、合計7社が銀行の子会社ではなく兄弟会社として並列的に事業を営んでいます。


これからの地方銀行は、地域を形づくる地域総合会社になって行くことは時代の要請だと思います。地域の良さを見出し、そこに活力を呼び込んで行くためには、これまでの本業である融資取引を前提とするだけでは足りず、もっと多様な機能をもって地域内の事業者、住民に対して付加価値の高いサービスを提供して、シナジー効果を発揮することが不可欠です。


融資の際に必要な事業の目利き力を取り戻していくことは勿論、自分達が事業活動するエリアのグランドデザインを描いて行くことが必要でしょう。また、ヒューマンリソースを単に人材紹介という狭い領域で捉えるに留まらずに、エリアデザインと掛け合わせて地域のコミュニティーを蘇らせ、そこに住む人々みんなが創発して地域を高めて行く必要があります。


今日もありがとうございます!
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