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金融庁の政策転換!

皆さん、おはようございます!
最近の関心は、いかに組織の呪縛から働き手を解放しモチベーションや能力を高めていくかということにあります。それは人間が持って生まれた創造力を発揮すことであり、社会の未来を描いて行くことに通じます。無形資産に注視するファイナンスの流れとも整合します。



金融庁は、2024年3月末から、地方銀行や信用金庫に新たな資本規制を導入します。それら金融機関が自己資本比率を計算する際に、保有株式の損失リスクを重く見積もる反面、
中堅・中小企業向け融資のリスクを今よりも軽くするそうです。相場変動に伴う損失リスクを抑制する一方、企業への資金繰りを支援して実体経済を支えるように促すのが狙いです。


昨今、地方銀行や信用金庫は、従来の預金を集め、それを融資して利ザヤを稼ぐという銀行本来のビジネスモデルが通用しなくなっていると言われており、総じて低収益力に甘んじている状況です。それは金融機関のリスク許容力が低下しており、企業に融資するよりも株式等で運用することにドライブが掛り、それがまた業績低迷に繋がる悪循環に陥っています。


ことの真相は、金融機関の融資における審査能力(=企業に対する目利き力)が著しく低下しているからです。中堅企業を始めとする既存取引先に対しては、低利で過剰な貸し付けが行われている一方で、本当に資金を必要としている中小企業の資金需要に対しては、貸し倒れリスクを恐れるがあまり貸し渋りを行い、余剰資金を株式等投資しているのが実態です。


本来なら、雨後の竹の子のように次からつぎへと創出される新しい中小企業に対して、リスクマネーを循環させるのが地方銀行および信用金庫の役割であるはずです。しかしそれが出来ていないのは、一重に融資のリスクを見極める選球眼が、スコアリングという機械的な評価手法に偏っているからであり、銀行員が中小企業の経営者と向き合っていないからです。


銀行による中小企業向け融資残高は約380兆円であり、全融資残高全体の約7割を占める状況にあるのが実態です。中小企業は、資金繰りの大半を銀行に依存していると言えるでしょう。今回の金融庁による新たな資本規制は、中小企業向けの融資を増やしても、金融機関の自己資本比率の低下に繋がり難くすることで、積極的な融資を求めることに繋がります。


一方、金融機関が運用する保有株式については、リスクの掛け目を厳しくすることになります。金融機関からしてみれば、株式で資金運用するよりも、融資枠を拡大する方向にインセンティブが向くことになります。地方銀行および信用金庫に対する新たな資本規制について金融庁からの正式コメントはありませんが、それら金融機関経営に対する危機感でしょう。


今般のコロナ禍を背景として政策的融資が中堅・中小企業に対して大盤振る舞いされていますが、現実的に考えてそれら企業は今日の産業構造の転換と相まって、現状の事業構造ではコロナ対策融資の返済に覚束ないばかりか、事業再構築を行っていかなければ企業としての存続自体が危ぶまれます。それが金融機関を直撃すれば、益々、融資が滞ってしまいます。


それを未然に防ぐ手立てとして今回新たな資本規制の政策を打ち出していることが理解できますが、もう少し早い時期に施行しても良い位だと思います。繰り返しになりますが地方銀行や信用金庫が抱える問題の本質は、金融事業の原点である銀行員による泥臭い人間関係を通した事業の目利き力を打ち立てずにして情報技術ばかりに現を抜かしても始まりません。


今日もありがとうございます!
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