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新生銀行へのTOB!

皆さん、おはようございます!
先日週末に、昼頃より長男が婚約者を連れて久々に我が家へやってきました。近々、入籍をするため婚姻届へのサインをすることがその目的です。父親からしてみれば、息子もこれで名実ともに独り立ちをするわけで、また一つ肩の荷が下りたという感じでホッと一息です。



インターネット金融大手のSBIホールディングス(=SBI)が新生銀行に対し、10月25日を期限とするTOB(=株式公開買い付け)を開始したことをご存知の方も多いと思います。敵対的買収というTOBの語彙にもある通り、SBIは予め新生銀行取締役会の同意を得ずにTOBを仕掛けているため、新生銀行にハレーションを起してしまっています。


新生銀行の取締役会は、SBIによるTOBを阻止すべく敵対的買収防衛策を検討するなど今後の成り行きに混迷を来しています。確かに新生銀行取締役会のお家を守ろうとする感情も理解できますが、前身である日本長期信用銀行が破綻して新生銀行に生まれ変わり、過渡期にある銀行業界にあって、新たな成長シナリオを描き直す切っ掛けにすべきと思います。


日本の銀行業界は、戦後護送船団方式により新生銀行が属していた長信銀、都銀、地方銀行地域金融機関という区分によって明確に事業テリトリーが分かれていました。長信銀は文字通り産業界に対して経済復興に欠かせない設備投資等の長期にわたる融資がその目的となっていました。ところが産業構造の成熟化により、その事業目的が失われてきたと言えます。


バブル経済只中においては、不動産向け融資などに傾注したため、その崩壊後は多額の不良債権を抱え込み破綻してしまったことは記憶に新しいと思います。同じ長信銀グループにあった旧日本債券信用銀行(=現あおぞら銀行)も同じ憂き目にあっています。元々、長信銀は都銀の様に店舗での預金集めに傾注せず、債券を発行して資金調達をする事業構造です。


大手メーカーを主な対象顧客として長期資金の融資からの金利を収益基盤としていたことから、顧客が自ら社債を発行する様になったことで、その長信銀としての本来の役目を終えていたことになります。新生銀行として、そこからの事業再構築ですからゼロから事業を立ち上げるのに等しい状況にあったと思います。それから20年余り経過してTOB問題です。


現在の新生銀行はインターネットバンキングを主軸にクレジットカードや消費者金融で収益を成り立たせている事業構造へと大きく転換しています。本来の銀行業とは少しかけ離れたポジションで何とか事業を成り立たせているというのが正直なところだと思います。B2BからB2Cへと業態を変えた点については、生き残るために考えた苦肉の策なのでしょう。


銀行業の王道は、やはり事業者向け融資という顧客基盤を持って如何に金融事業を通して顧客に資することが出来るかだと思います。今日ではインターネットを活用することが不可欠ですが、新生銀行の場合は確固たる顧客基盤を持たないように見受けます。その様な状況の中でネットバンキングの世界は異業種参入が増え、先行きじり貧となってしまうでしょう。


SBIがTOBで提案する地銀連合の核となる銀行ポジションに位置することは、新生銀行にとってホールセールバンクとなることができ、地方銀行というリテールバンクが持つ顧客基盤を手に入れることに繋がります。新生銀行にとっても今後の成長シナリオを描く又とない機会ではないでしょうか。一時の感情に惑わされることなく冷静に対処すべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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