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知識経営時代の財務諸表!

皆さん、おはようございます!
仕事がら契約書を見て欲しいという依頼がよくあります。残念ながら、一読してアウトラインが浮かび上がってくる契約書は少ないと言えます。よく良く取引の背景を聞いてみますと結構詳細に当事者間で確認し合っているのですが、それが活字として記載されていません。



経営努力の結果として、売上高でもなく、経常利益でもなく、企業の経済価値で評価することは理に叶っていると思います。仮に売上高が出ていても、売上総利益(=俗にいう粗利)が赤字であれば、そもそもビジネスモデルとして成り立っておらず、事業を続ければ続けるほど赤字が累積してしまいます。売上以上にそれに費やす原価が掛るなんてあり得ません。


また、経常利益が黒字であっても、それが前年対比で減少しているにも拘わらず、その事業を営むのに必要な事業投資が増加していれば、投資効率(=投資利回り)が減少していることになります。更には、経常利益が黒字であっても、キャッシュフローが赤字ということもあり得ます。何れの場合も企業価値を高めるどころか「毀損」させていることになります。


財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書(=財務三表)がありますが、その何れかを見るだけでは企業の業績を構造的に捉えるのに足りません。企業の経済価値を捉えるには、キャッシュフロー(=資金の流れ)で投資に対する利益がどうであったか、財務三表をクロスオーバーさせて立体的に把握して掴んでいくことが基本となります。


最もポピュラーな財務指標としてROIC(=投下資本利益率)があります。これは税引後営業利益を投下資本で除した指標であり、キャッシュベースで事業に投下した資本に対してどれだけの利益を上げることが出来たかを示すものです。投下資本に係る資本調達コストを上回っていれば企業価値を高めたことになり、逆であれば毀損させていることになります。


このROICや資本調達コストという概念は、株式を上場させていようが、いまいが関係なく企業の経済価値を計算するのに適用することが出来ます。上場企業であれば市場株価に晒されていますが、中小企業は株価が公表されることはありませんが、任意で時には企業価値を算定して自らの企業価値がどれ位増えているかを把握しておくことも大切だと思います。


企業の経済価値を高めるためには、事業への投下資本を出来るだけ少なくして、最大の利益を享受することになります。それはROICに当て嵌めて考えてみれば直ぐに理解できると思います。ここでメーカーとIT業界のROICについて考えてみたいと思います。メーカーは、売上を得るために製品を製造する必要があり、工場や生産設備が不可欠となります。


これに対し、IT業界は極端な話として優秀な人財さえいれば、場所を問わずリモートワークで売上を上げて行ける時代です。メーカーとIT業界では、同じ売上や利益を上げるにも必要な投下資本が異なることが明らかです。IT業界は工場や生産設備は必要ないため、初期投資がゼロということも考えられるでしょう。それが如実に表れるのが貸借対照表です。


設備投資等は、取得した時に貸借対照表に計上されますが、IT業界は人財を採用しても貸借対照表に計上できないルールとなっています。人財が事業の営みの中で多くの知的資産を創出しても、それは貸借対照表に計上できません。それは飽くまでも慣習としてのルールですので、もしかしたら人財や知的資産も貸借対照表に計上する時代が来るかもしれません。


今日もありがとうございます!
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